多摩市落合(多摩中央公園内南端の一角)に市の文化財指定の「旧富澤家住宅」はある。冨澤家の先祖政本は今川家の家臣で桶狭間の戦いで亡ぼされ逃れ当地に土着し、以来代々連光寺村の名主を世襲時(18世紀後半)に建築された住宅(建物)である。地域の有力者として幕末に至った。1872年(明治5年)の名主制度廃止まで名主を務めた家柄である。富澤家には「明治天皇」が兎狩りなどで行幸、行啓の際には「御小休所」として利用された。幕末には上洛前の近藤勇や沖田総司が富澤家当主政恕を当宅に訪ねたという。薬医問形式の「表門」、敷地内は全体が芝生が敷き詰められた庭、右手に「道場」、「小休所碑」、主奥前に配された大きな池があり毎年カモがやってくる。おりしもカエデやモミジ、落葉樹などが紅葉し始め美しい外庭となっている。敷地の中央に入り母屋造りの「主屋」、裏に「井戸」、「土蔵」、「裏門(木戸)」がある。メインの「主屋」の建築年代は18世紀中頃から後半とされる。間取り「式台付玄関」、「客座敷」があり、「広間」、「中の間」、「奥の間」、「納戸」、「茶の間」、「お勝手」、「土間」となっている。今でいうと「4LDK」以上の大きさで「上層民家」特有の整った造りとなっている。(2112)
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