伊東良徳の超乱読読書日記

雑食・雑読宣言:専門書からHな小説まで、手当たり次第。目標は年間300冊。2022年から3年連続目標達成!

理系社員のトリセツ

2016-04-04 00:02:32 | 実用書・ビジネス書
 理系出身者の特徴を説明し、会社での活用方法等を論じた本。
 冒頭で、文系・理系の区別は、日本の大学は視野の広い教養人を輩出するというよりは欧米列強に追いつくことを目的に設置されたために学生には専攻を一つに絞らせその分野の知識を深く習得するというスタイルを取らざるを得なかったためで、現在ではその区別の意義は薄れている(16~19ページ)、受験のために誰でもわかりそうな問題では点数に差がつかないので単に暗記量で勝負させる問題や技巧的で意地悪な問題に偏るので高得点を取れた少数派以外はみな自信をなくし理系科目が嫌いになっていく(20~23ページ)という解説があり、文系の人間には、なるほどと思わせてくれます。
 理系専門家の技術予測はここ一番で大外れするとして、その理由を自分の専門の既存の情報が多数あり情報があるものの方を信じやすいし自分が慣れ親しんだ技術にはひいき目があるために予測が保守的になる、数学や物理のテストのように理論通りに論を進めれば正解にたどり着けると信じる傾向にあるため、保守的で我田引水の予測をしがちと説明しています(45~54ページ)。そして、理系の技術者の知識・技術スキルは自分の専門分野の現在の技術と密接なので、技術者は会社がその分野から撤退したりまったく新しい技術が導入されると自分の技術スキル/居場所を失うため、儲からない部門であれ撤退や新技術導入に抵抗することになり、理系知識には在庫コストがあり、高いとも説明されています(54~58ページ)。
 私自身は、理系社員を使う側ではないので、後半の活用方法の部分よりも、前半の理系社員の特徴の点で興味深い点が多くありました。


中田亨 ちくま新書 2015年7月10日発行
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