「アンフェア」のタイトルでテレビドラマ・映画化された刑事雪平夏見シリーズの原作。
テレビドラマのシナリオライターとして活躍していた作者が小説家としてデビューした作品だそうで、タイトルのみならず、文章もかなり気負っていて、力が入りすぎて少し読むのが気恥ずかしい。そして、いかにも脚本家らしく、小説としては場面転換(カット割り)が多く、その場面転換が時々時間の前後を説明せずに曖昧に展開したりして、読みにくい。同じ文章の繰り返しも、多くて、くどい感じ。
映画を見てから(テレビドラマは見てない)読むと、映画のストーリーの警察組織の陰謀とかの権力を背景にした黒幕などとは無縁のお話で、共通点は、雪平のキャラ設定だけに思えます。独断専行、ルール無視、殺人現場で寝転び被害者が最後に見た風景を感じることにこだわる警視庁で検挙率No.1の「無駄に美人」の警部補という設定の魅力で読ませているというところでしょうか。その設定でも、検挙率No.1は、射殺した少年が恨みがましく「ずるいよ、あんた」と言ったり、人殺しの娘といじめられた小学生の娘美央が雪平に「ママは人殺しなの?」と聞いたり嫌う様を夢で見るのがいやで、不眠症になって1日20時間も働き続ける結果だとか、起きている間は浴びるように酒を飲み、汚部屋で全裸で寝るとかいうあたりは映画では採用されていないように見えますが。
その後のシリーズも含めて、犯人像・犯行動機の設定で無理をしている感があり、本格ミステリーにはなれない、ややコミカルで、しかし犯行は残虐さを強調しすぎという印象のミステリーになっています。
秦建日子 河出文庫 2005年12月30日発行(単行本は2004年12月)
テレビドラマのシナリオライターとして活躍していた作者が小説家としてデビューした作品だそうで、タイトルのみならず、文章もかなり気負っていて、力が入りすぎて少し読むのが気恥ずかしい。そして、いかにも脚本家らしく、小説としては場面転換(カット割り)が多く、その場面転換が時々時間の前後を説明せずに曖昧に展開したりして、読みにくい。同じ文章の繰り返しも、多くて、くどい感じ。
映画を見てから(テレビドラマは見てない)読むと、映画のストーリーの警察組織の陰謀とかの権力を背景にした黒幕などとは無縁のお話で、共通点は、雪平のキャラ設定だけに思えます。独断専行、ルール無視、殺人現場で寝転び被害者が最後に見た風景を感じることにこだわる警視庁で検挙率No.1の「無駄に美人」の警部補という設定の魅力で読ませているというところでしょうか。その設定でも、検挙率No.1は、射殺した少年が恨みがましく「ずるいよ、あんた」と言ったり、人殺しの娘といじめられた小学生の娘美央が雪平に「ママは人殺しなの?」と聞いたり嫌う様を夢で見るのがいやで、不眠症になって1日20時間も働き続ける結果だとか、起きている間は浴びるように酒を飲み、汚部屋で全裸で寝るとかいうあたりは映画では採用されていないように見えますが。
その後のシリーズも含めて、犯人像・犯行動機の設定で無理をしている感があり、本格ミステリーにはなれない、ややコミカルで、しかし犯行は残虐さを強調しすぎという印象のミステリーになっています。
秦建日子 河出文庫 2005年12月30日発行(単行本は2004年12月)