テレビドキュメンタリー制作者のキャサリンが、夫に秘密にしていた20年前のスペインでの休暇のときの事件について、何者かが書き綴り自費出版した本を届けられ、パニックに陥り、その作者がキャサリンの周囲にその本やキャサリンの写真を送ってキャサリンを追いつめていくという展開の小説。
子を思う親の気持ち、子の危機に憔悴し、子の死に深い喪失感と復讐心を持つ親の姿が、描かれています。私は、子の褒められたものではない言動に翻弄され、妻との距離も見失う2人の父親たちの哀れに心を揺さぶられました。
しかし、ミステリーとしては、比較的シンプルな構成で、20年前の夏のできごとが常にクローズアップされ続け、何となく落としどころは見えてきますし、またその行き先は心地よいものでもなく、読後感はあまりよくありませんでした。
ドキュメンタリー制作者という、作者自身の職業についているという設定のキャサリンが、仕事に対して真摯に取り組む描写がほとんどなく、責任感や倫理観を感じさせないのは、どんなものかなと思います。作者自身が自分の仕事への思い入れがないのかとさえ感じてしまいました。
原題:DISCLAIMER
ルネ・ナイト 訳:古賀弥生
東京創元社 2015年5月29日発行 (原書も2015年)
子を思う親の気持ち、子の危機に憔悴し、子の死に深い喪失感と復讐心を持つ親の姿が、描かれています。私は、子の褒められたものではない言動に翻弄され、妻との距離も見失う2人の父親たちの哀れに心を揺さぶられました。
しかし、ミステリーとしては、比較的シンプルな構成で、20年前の夏のできごとが常にクローズアップされ続け、何となく落としどころは見えてきますし、またその行き先は心地よいものでもなく、読後感はあまりよくありませんでした。
ドキュメンタリー制作者という、作者自身の職業についているという設定のキャサリンが、仕事に対して真摯に取り組む描写がほとんどなく、責任感や倫理観を感じさせないのは、どんなものかなと思います。作者自身が自分の仕事への思い入れがないのかとさえ感じてしまいました。
原題:DISCLAIMER
ルネ・ナイト 訳:古賀弥生
東京創元社 2015年5月29日発行 (原書も2015年)