伊東良徳の超乱読読書日記

雑食・雑読宣言:専門書からHな小説まで、手当たり次第。目標は年間300冊。2022年から3年連続目標達成!

現代日本を読む ノンフィクションの名作・問題作

2021-02-24 21:23:37 | 人文・社会科学系
 著名なノンフィクションを素材として、現代日本においてノンフィクションが果たしてきた役割、可能性と限界を論じた本。
 「Web中公新書」に2年近くにわたり30回連載された「日本ノンフィクション史 作品篇」を再構成したと紹介されていて、一貫した論考と言うよりは、作品紹介の性格が強く、また時期によって評価の変化が見られるように感じました。
 著者の検討/視点の中で立花隆の評価が定まらずブレを生じ、躓きの石になっているように思えました。第4章では、大宅壮一ノンフィクション賞の選考委員である立花隆をノンフィクションのなんたるかがわかっていない者と道化役に使いながら、第8章では立花隆と利根川進の「精神と物質」を科学ノンフィクションとして持ち上げ、第9章では沖縄返還交渉と密約を明らかにした若泉敬の「他策ナカリシヲ信ゼムト欲ス」をノンフィクションが「物語」としての性質を持ち「物語」と読まれてしまうが故に告発力が弱く影響を持ち得なかったと評価しながら、事実記載に徹して強い影響力を及ぼした立花隆の「田中角栄研究」はノンフィクションとしての価値が低いという趣旨の記述(102ページ)にとどめています。全体として読むと、著者は何を言いたいのか、今ひとつわかりません。まぁ立花隆が嫌いなんだろうなというのは感じますが。


武田徹 中公新書 2020年9月25日発行
コメント
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