伊東良徳の超乱読読書日記

雑食・雑読宣言:専門書からHな小説まで、手当たり次第。目標は年間300冊。2022年から3年連続目標達成!

あひる

2021-02-18 19:46:17 | 小説
 父親が職場の同僚からもらい受けたアヒルを庭で飼ううちに近所の子どもたちが遊びに来るようになり、のりたまと名付けられたそのアヒルが病気になって父親が動物病院に連れて行き、その後業者に連れられた元気なアヒルが来てのりたまとして受け容れられるということが続く表題作、敷地内の別棟に住むおばあちゃんと小学生のみのりと弟の交流を描いた「おばあちゃんの家」、何かに夢中になると掌にたくさん汗をかく不器用な少年モリオと妹モリコとビワの実がたくさんなっている家に住むおばあさんとの交流を描いた「森の兄妹」の3編からなる短編集。後の2編はおばあちゃんと通じて、あるいは「クジャク」を通じてリンクしています。
 アヒルが入れ替わっていることをみんなが見て見ぬふりをしますが、それが何の/誰のためなのか、3輪車にまたがった女の子の問いかけを機に考えさせられます。「こちらあみ子」「ピクニック」から続く問いかけというべきでしょうか。


今村夏子 角川文庫 2019年1月25日発行(単行本は2016年11月)
河合隼雄物語賞受賞作
コメント
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