「正義論」で知られる哲学者ジョン・ロールズの生涯と、「正義論」をはじめとするロールズの主要な著作と理論を概説する本。
政治哲学ないし政治理論の歴史的/金字塔的著作とされている「正義論」(1971年出版、原書の本文は587ページに及ぶそうです。1999年に改訂版出版)は、名前は聞いたことがありますが、もちろん(と言うのもなんですが)読んでいません。そのエッセンスでも理解できればという本ではありますが、それはそれで簡単ではありません。
社会のあり方、政治のあり方をめぐる理念的な原則は、私のような法律実務家はついそれで何が変わるのか、実践・現場が第一でしょと思ってしまうのですが、他人の権利(自由)を否定する権利はない、持って生まれた才能や条件が低い人の存在を放置しない:「制度が、もっとも不利な立場におかれる人びとにとって長期的に見て最大の利益になるよう編成されることを要求する」(70ページ等)ことを社会・政治の原理原則とするという姿勢には庶民の弁護士として好感を持つというか、一種の感動を覚えます。
社会の構成員が、熟慮の結果そういった理にかなった判断をする/そのような判断に同意するというのは、性善説に過ぎると言うべきか、確信犯的に他人を踏みつけ続ける者は社会の構成員に包含できないということにならざるを得ない(いかなる議論でも、公正や正義を目指す理論では他人の権利を一方的に否定することが許されるということにはならないでしょうから、それは他の理論でも同じか仕方ないということになるのかもしれませんが)もので、完璧・完結は望めないのでしょうけれども、そういったもの/理論を追求し構想する姿勢はやはり大切だな/尊いものだなと、読んでみて思いました。読んで、内容が十分理解できた/自分なりに咀嚼できたとはやはり思えなかったのが残念ですが。

齋藤順一、田中将人 中公新書 2021年12月25日発行
政治哲学ないし政治理論の歴史的/金字塔的著作とされている「正義論」(1971年出版、原書の本文は587ページに及ぶそうです。1999年に改訂版出版)は、名前は聞いたことがありますが、もちろん(と言うのもなんですが)読んでいません。そのエッセンスでも理解できればという本ではありますが、それはそれで簡単ではありません。
社会のあり方、政治のあり方をめぐる理念的な原則は、私のような法律実務家はついそれで何が変わるのか、実践・現場が第一でしょと思ってしまうのですが、他人の権利(自由)を否定する権利はない、持って生まれた才能や条件が低い人の存在を放置しない:「制度が、もっとも不利な立場におかれる人びとにとって長期的に見て最大の利益になるよう編成されることを要求する」(70ページ等)ことを社会・政治の原理原則とするという姿勢には庶民の弁護士として好感を持つというか、一種の感動を覚えます。
社会の構成員が、熟慮の結果そういった理にかなった判断をする/そのような判断に同意するというのは、性善説に過ぎると言うべきか、確信犯的に他人を踏みつけ続ける者は社会の構成員に包含できないということにならざるを得ない(いかなる議論でも、公正や正義を目指す理論では他人の権利を一方的に否定することが許されるということにはならないでしょうから、それは他の理論でも同じか仕方ないということになるのかもしれませんが)もので、完璧・完結は望めないのでしょうけれども、そういったもの/理論を追求し構想する姿勢はやはり大切だな/尊いものだなと、読んでみて思いました。読んで、内容が十分理解できた/自分なりに咀嚼できたとはやはり思えなかったのが残念ですが。

齋藤順一、田中将人 中公新書 2021年12月25日発行