新聞記事とそのWeb版を想定して、ジェンダー表現についての改善を提起する本。
「揚げ足取りや言葉狩りを意図したものではありません。単なる言い換えマニュアルでもありません。言い換え案を提示してはいますが、ただのテクニックにとどめています。その『心』を知ってこそ、表現が本物になるからです」(はじめに:5~6ページ)とあるように、表現そのものに関する記述よりもジェンダーに関わる問題についての「識者」のインタビューが多く、そっちの方が読みでがあります。
志は買いたいところですが、タイトルの「失敗しないための」は、外部から問題点を指摘されたくないがため、それこそ揚げ足を取られるのが嫌だからという感じで、なんだかいじましく情けない。著者の思うところからすれば、せめて「差別に加担しないための」か「偏見を助長しないための」、よりポジティブには「平等を進めるための」じゃないかと思う。販売戦略として、女性団体から揚げ足取られるのが嫌だと思っているレベルのおっさん編集者/記者に読んでもらうために敢えてそうしているのかもしれませんが。
言い換え提案部分では、新聞記者が新聞記者に向けて書いていることを考えると、ジェンダー的に/ポリティカル・コレクトネス上、正しい/正確な表現を説明するにとどまらず、字数を見据えた提案をしないと説得力がないと思うのですが、そういう点に触れているところがほとんどない(私が気づいた限りでは62ページの1箇所だけ)というのは残念です。
新聞労連ジェンダー表現ガイドブック編集チーム 小学館 2022年3月27日発行
「揚げ足取りや言葉狩りを意図したものではありません。単なる言い換えマニュアルでもありません。言い換え案を提示してはいますが、ただのテクニックにとどめています。その『心』を知ってこそ、表現が本物になるからです」(はじめに:5~6ページ)とあるように、表現そのものに関する記述よりもジェンダーに関わる問題についての「識者」のインタビューが多く、そっちの方が読みでがあります。
志は買いたいところですが、タイトルの「失敗しないための」は、外部から問題点を指摘されたくないがため、それこそ揚げ足を取られるのが嫌だからという感じで、なんだかいじましく情けない。著者の思うところからすれば、せめて「差別に加担しないための」か「偏見を助長しないための」、よりポジティブには「平等を進めるための」じゃないかと思う。販売戦略として、女性団体から揚げ足取られるのが嫌だと思っているレベルのおっさん編集者/記者に読んでもらうために敢えてそうしているのかもしれませんが。
言い換え提案部分では、新聞記者が新聞記者に向けて書いていることを考えると、ジェンダー的に/ポリティカル・コレクトネス上、正しい/正確な表現を説明するにとどまらず、字数を見据えた提案をしないと説得力がないと思うのですが、そういう点に触れているところがほとんどない(私が気づいた限りでは62ページの1箇所だけ)というのは残念です。
新聞労連ジェンダー表現ガイドブック編集チーム 小学館 2022年3月27日発行