NHKが「もし今日が最後だとしたら、何を語るか」という問いの下に講義を行わせるという番組で、著者が講義を行って2021年3月に放映されたものをベースに出版した本。
タイトルを見ると、東大の退官講義かと誤解しますが、全然違います。
2019年の東大入学式の祝辞で著者が述べた「フェミニズムは弱者が弱者のままで尊重されることを求める思想です」というのは、円熟の域に達した著者がたどり着いた境地かなと思います。「別に女は男みたいになりたいわけじゃありません。『男のようになる』ということは、強者、支配者、抑圧者、差別者になることです。女はそんなことをちっとも望んでいません。男も、過去には弱者だったし、いずれは弱者になります。フェミニズムは弱者が強者になりたいという思想ではありません。弱者になっても安心できる社会をつくることが、わたしたちの目的です」(134ページ)と、女が、男が、フェミニズムが均一な特定の誰かが代表できるようなものとして論じるのは、レトリックであり、また自負ではあるのでしょうけれども、そう突っ張らなくてもいいんじゃないかなと感じました。
講義を起こしたものなので、さらさら読めて、著者の生き様に触れ(クリスチャンファミリーに生まれたけど、思春期に父に背いて教会を離れ、祈ることを自分に禁じたんだとか:140~141ページ)、著者の振り返る過去から現在を知ることができ、著者に関心を持つ読者にはお得な本です。
上野千鶴子 主婦の友社 2022年3月20日発行
『最後の講義 上野千鶴子」NHK 2021年3月放送
タイトルを見ると、東大の退官講義かと誤解しますが、全然違います。
2019年の東大入学式の祝辞で著者が述べた「フェミニズムは弱者が弱者のままで尊重されることを求める思想です」というのは、円熟の域に達した著者がたどり着いた境地かなと思います。「別に女は男みたいになりたいわけじゃありません。『男のようになる』ということは、強者、支配者、抑圧者、差別者になることです。女はそんなことをちっとも望んでいません。男も、過去には弱者だったし、いずれは弱者になります。フェミニズムは弱者が強者になりたいという思想ではありません。弱者になっても安心できる社会をつくることが、わたしたちの目的です」(134ページ)と、女が、男が、フェミニズムが均一な特定の誰かが代表できるようなものとして論じるのは、レトリックであり、また自負ではあるのでしょうけれども、そう突っ張らなくてもいいんじゃないかなと感じました。
講義を起こしたものなので、さらさら読めて、著者の生き様に触れ(クリスチャンファミリーに生まれたけど、思春期に父に背いて教会を離れ、祈ることを自分に禁じたんだとか:140~141ページ)、著者の振り返る過去から現在を知ることができ、著者に関心を持つ読者にはお得な本です。
上野千鶴子 主婦の友社 2022年3月20日発行
『最後の講義 上野千鶴子」NHK 2021年3月放送