父親が挫折してこころの病を持ちそれに付き添う母から瀬戸内海の島の祖父母の元に預けられた小学6年生の桑田葉が、男と女が別々に集まり女が男の顔色を窺う村社会になじめず、祖父にも祖母にも打ち解けられない中で、孤高を保つ同学年の少女桐生真以に憧れと友情を感じつつ裏切られた思いを持つ第1部と、20年近く経ち飲料メーカーに勤め広報を担当しているが部長から嫌われて圧迫され続ける中で真以を探す第2部からなる小説。
男社会の中での女性の息苦しさをテーマにしているんだとは思うのですが、あまりにわかりやすすぎる露骨な男尊女卑的な言動が、ちょっと今どき…と、わざとらしく感じたり、葉の姿勢がここまで父親を嫌いすべてを父親のせいにできるものか(まぁ小学6年生って、父親を嫌う年頃ですが…)、自分を引き取って面倒を見てくれる祖父母にここまで感謝の気持ちも感じず自分の感情だけで動けるものか(まぁ子どもだから仕方ないか…)と思うところなど、素直に乗って行きにくい印象でした。葉と同い年ながら、子どもの頃から試練をくぐり抜けたこともあって、大人びた真以の様子には、いじらしく思い、素直に共感を持てるのですが。
タイトルの「ひきなみ」は、「引き波」ではなくて「曳き波」のようです。私は、引波と読んで、最初は津波の話かと思ってしまいました。「しきなみ」と見間違えて/読み間違えて(江戸っ子だってねぇ)アスカ・ラングレー外伝と思う人はいないでしょうけど…
千早茜 株式会社KADOKAWA 2021年4月30日発行
「小説 野性時代」連載
男社会の中での女性の息苦しさをテーマにしているんだとは思うのですが、あまりにわかりやすすぎる露骨な男尊女卑的な言動が、ちょっと今どき…と、わざとらしく感じたり、葉の姿勢がここまで父親を嫌いすべてを父親のせいにできるものか(まぁ小学6年生って、父親を嫌う年頃ですが…)、自分を引き取って面倒を見てくれる祖父母にここまで感謝の気持ちも感じず自分の感情だけで動けるものか(まぁ子どもだから仕方ないか…)と思うところなど、素直に乗って行きにくい印象でした。葉と同い年ながら、子どもの頃から試練をくぐり抜けたこともあって、大人びた真以の様子には、いじらしく思い、素直に共感を持てるのですが。
タイトルの「ひきなみ」は、「引き波」ではなくて「曳き波」のようです。私は、引波と読んで、最初は津波の話かと思ってしまいました。「しきなみ」と見間違えて/読み間違えて(江戸っ子だってねぇ)アスカ・ラングレー外伝と思う人はいないでしょうけど…
千早茜 株式会社KADOKAWA 2021年4月30日発行
「小説 野性時代」連載