弁護士になったものの就職先もなく事務所を持つ資金もないため「ケータイ弁護士」と呼ばれるフリーランサーとなった25歳の新人弁護士杉浦小麦が、母の知人から依頼された行方不明の相続人捜しと、国選弁護で拾った何の問題もない簡単な事件のはずだった傷害の自白事件に翻弄され奔走する弁護士エンタメ小説。
行方不明の相続人を見つけて2億円の価値がある不動産を売却するという依頼を、報酬金は売却益の25%というのは、ずいぶんとふっかけたものです。新人にしてそんな請求をするのは度胸があるなぁと、私などは思うのですが、意外に最近の若手で高い報酬を取るケースも耳にします。弁護士を増やして競争を激化させれば報酬が安くなると、司法改革を推進した人びとは目論んでいたようですが、必ずしもそうはならないところは、むしろ爽快感があったりします。
序盤で、小麦は、弁護士倫理上こんなことが許されるのかと悩む姿を見せますが、後半では明らかにやっちゃいけないことを平気でやっています。父親とともに、アウトロー弁護士というか、「ちょい悪」を超えた、ずぶとい「悪」弁護士、でも憎めないというキャラクターで押してゆく作品かと思います(おそらくシリーズ化)。

木内一裕 講談社文庫 2022年10月14日発行(単行本は2020年11月)
行方不明の相続人を見つけて2億円の価値がある不動産を売却するという依頼を、報酬金は売却益の25%というのは、ずいぶんとふっかけたものです。新人にしてそんな請求をするのは度胸があるなぁと、私などは思うのですが、意外に最近の若手で高い報酬を取るケースも耳にします。弁護士を増やして競争を激化させれば報酬が安くなると、司法改革を推進した人びとは目論んでいたようですが、必ずしもそうはならないところは、むしろ爽快感があったりします。
序盤で、小麦は、弁護士倫理上こんなことが許されるのかと悩む姿を見せますが、後半では明らかにやっちゃいけないことを平気でやっています。父親とともに、アウトロー弁護士というか、「ちょい悪」を超えた、ずぶとい「悪」弁護士、でも憎めないというキャラクターで押してゆく作品かと思います(おそらくシリーズ化)。

木内一裕 講談社文庫 2022年10月14日発行(単行本は2020年11月)