田舎町の勤務先の会社が倒産して失業し女性誌に投稿した漫画が「努力賞」に入って付いた担当編集者に東京で住み込みのアルバイト先がないかと頼み込んでいたところに中学の頃から憧れていたファンタジー系マンガ家の篠宮香蓮のアシスタントが辞めたといわれてアシスタントになった30過ぎの葛城彩華が、仕事場で上から目線で口を出してくる香蓮の双子の弟でマンガ家の神薙志門と対立しながら過ごすうちに、篠宮香蓮のボツ原稿が個人売買のサイトに流出し、激高して犯人捜しをする神薙に疑われ、SNSで情報が拡散し暴走するファンによるとみられる事件に巻き込まれ…という展開のサスペンス仕立ての小説。
神薙は、才能があり根強いファン層を持つ双子の姉香蓮を羨み、優位に立とうとし、また香蓮を利用して自分を売り込もうとするなど、実力不足なのにそれを自覚せず偉ぶる器の小さい勘違い男と描かれていますが、自分の才能を過信し真剣に努力せずにいる勘違い系としては葛城も似たようなものに、私には見えます。神薙の欠点は、マンガ家としてということではなくて人間としての欠点で、それを「女の敵」というレッテルを貼ったり、ましてやマンガ家としての欠点ということでもないのに「向かない職業」というタイトルのセンスは、疑問に思えました。
水生大海 光文社 2022年10月30日発行
神薙は、才能があり根強いファン層を持つ双子の姉香蓮を羨み、優位に立とうとし、また香蓮を利用して自分を売り込もうとするなど、実力不足なのにそれを自覚せず偉ぶる器の小さい勘違い男と描かれていますが、自分の才能を過信し真剣に努力せずにいる勘違い系としては葛城も似たようなものに、私には見えます。神薙の欠点は、マンガ家としてということではなくて人間としての欠点で、それを「女の敵」というレッテルを貼ったり、ましてやマンガ家としての欠点ということでもないのに「向かない職業」というタイトルのセンスは、疑問に思えました。
水生大海 光文社 2022年10月30日発行