かつてパテントトロール(自分では事業をする気がない製品の特許を取り特許権侵害だと他の企業にぶつけて金をせびる組織)の側にいたが、中国人弁護士の姚愁林と2人で特許権侵害の主張を受けた企業を守る側の事務所「ミスルトウ特許法律事務所」を開設した弁理士大鳳未来が、人気絶頂のVTuber天ノ川トリィの撮影システムが特許権侵害だという警告を受けたプロダクションの依頼を受けて相手方との交渉に臨むというサスペンス小説。
作者は元エンジニアで現役の弁理士ということで、CGの撮影技術と特許に関する細部にわたる説明が読みどころです(選評で「話が専門的過ぎ」:265ページ、「唯一の難点が、法律の説明の難解さ」:266ページなどと書かれていますが、いやそこが売りだろうと、私は思うんですけど)。さらに、私の僻目かもしれませんが、弁護士業界で若手に人気の知財領域の業務が、発明者の権利を正しく守りましょうなんていう「清く正しい」ものではなく、現実にはドロドロしたビジネスなんだということが描かれているところが、私には楽しめました。そのあたり、さすが現役の弁理士のなせる技と感じました。
南原詠 宝島社 2022年1月21日発行
2021年このミステリーがすごい!大賞受賞作
作者は元エンジニアで現役の弁理士ということで、CGの撮影技術と特許に関する細部にわたる説明が読みどころです(選評で「話が専門的過ぎ」:265ページ、「唯一の難点が、法律の説明の難解さ」:266ページなどと書かれていますが、いやそこが売りだろうと、私は思うんですけど)。さらに、私の僻目かもしれませんが、弁護士業界で若手に人気の知財領域の業務が、発明者の権利を正しく守りましょうなんていう「清く正しい」ものではなく、現実にはドロドロしたビジネスなんだということが描かれているところが、私には楽しめました。そのあたり、さすが現役の弁理士のなせる技と感じました。
南原詠 宝島社 2022年1月21日発行
2021年このミステリーがすごい!大賞受賞作