著者が子どもの頃に読んだ本を読み返し、その中で大人になって読み返して書いてみようという気持ちを起こさせた18作について語ったエッセイ。
取り上げられた本は、「クマのプーさん」&「プー横町にたった家」、「銀河鉄道の夜」、「点子ちゃんとアントン」、「宝島」、「ハックルベリ・フィンの冒険」&「トム・ソーヤーの冒険」、「秘密の花園」、「鏡の国のアリス」、「ライオンと魔女」、「だれも知らない小さな国」、「ピノッキオの冒険」、「あしながおじさん」&「続あしながおじさん」、「ピーター・パンとウェンディ」、「モモ」、「二年間の休暇」(十五少年漂流記)、「小さなバイキングビッケ」、「ふくろ小路一番地」、「トムは真夜中の庭で」、「ゲド戦記」。読書好きであってもその読書経験はやはり人それぞれで、私が読んだことがあるのは半分くらいで、それも子どもの頃に読んだとなると3~4冊くらいです。どれくらい、「そうそう」と子ども時代も含めた共感と郷愁に浸れるかはさまざまでしょう。1冊だけ選ぶなら「宝島」だ(53~54ページ)というのも、賛否両論百家争鳴でしょうし。
著者が、最終章に「ゲド戦記」を選んだ(201ページ)ところで触れているように、子どもの頃にすでに「名作」としてあった作品群には、男の冒険で女は閉め出されている、有能な女性も職業人としての活躍が想定されず専業主婦になっていくことなど、今読む者には違和感を持たせるものが少なくありません(206~209ページ。ナルニア国物語について93~94ページ)。私も、かつて小学生だった娘に童話を読み聞かせていて疑問を持ち、サイトで「女の子が楽しく読める読書ガイド」というコーナーをつくっていて、「ゲド戦記」や「ナルニア国ものがたり」について同様のことを書いています。
著者が提起する問題意識や感想に、自らの読書の記憶と照らし合わせて、いろいろな思いが湧いてきて、それでまた読書の意欲をそそられる、そういう点が楽しい本だと思います。
中島京子 世界思想社 2022年8月1日発行
取り上げられた本は、「クマのプーさん」&「プー横町にたった家」、「銀河鉄道の夜」、「点子ちゃんとアントン」、「宝島」、「ハックルベリ・フィンの冒険」&「トム・ソーヤーの冒険」、「秘密の花園」、「鏡の国のアリス」、「ライオンと魔女」、「だれも知らない小さな国」、「ピノッキオの冒険」、「あしながおじさん」&「続あしながおじさん」、「ピーター・パンとウェンディ」、「モモ」、「二年間の休暇」(十五少年漂流記)、「小さなバイキングビッケ」、「ふくろ小路一番地」、「トムは真夜中の庭で」、「ゲド戦記」。読書好きであってもその読書経験はやはり人それぞれで、私が読んだことがあるのは半分くらいで、それも子どもの頃に読んだとなると3~4冊くらいです。どれくらい、「そうそう」と子ども時代も含めた共感と郷愁に浸れるかはさまざまでしょう。1冊だけ選ぶなら「宝島」だ(53~54ページ)というのも、賛否両論百家争鳴でしょうし。
著者が、最終章に「ゲド戦記」を選んだ(201ページ)ところで触れているように、子どもの頃にすでに「名作」としてあった作品群には、男の冒険で女は閉め出されている、有能な女性も職業人としての活躍が想定されず専業主婦になっていくことなど、今読む者には違和感を持たせるものが少なくありません(206~209ページ。ナルニア国物語について93~94ページ)。私も、かつて小学生だった娘に童話を読み聞かせていて疑問を持ち、サイトで「女の子が楽しく読める読書ガイド」というコーナーをつくっていて、「ゲド戦記」や「ナルニア国ものがたり」について同様のことを書いています。
著者が提起する問題意識や感想に、自らの読書の記憶と照らし合わせて、いろいろな思いが湧いてきて、それでまた読書の意欲をそそられる、そういう点が楽しい本だと思います。
中島京子 世界思想社 2022年8月1日発行