Fsの独り言・つぶやき

1951年生。2012年3月定年、仕事を退く。俳句、写真、美術館巡り、クラシック音楽等自由気儘に綴る。労組退職者会役員。

秋の微かな雨

2013年11月02日 21時35分36秒 | 日記風&ささやかな思索・批評
 講演会が終わって会場を出たら、道路が雨に濡れていた。気温も低め。天気予報では曇りであったが外れたのかもしれない。でもほんの少しの雨、そのまま東京駅まで10分歩いた。だが、東京駅から品川駅までは歩くつもりだったが断念した。
 東海道線の車内から雨に濡れた線路を見つめていたが、濡れた線路が駅の灯りや街の灯りに照らされているのは、晴れた日とは違い緩やかな光りだ。とても好ましい雰囲気を提供してくれる。雨は春早い時期か、秋の深まった今の時期が静かでいい。他の季節の雨もいいときはあるが、この時期には比べようがない。

 その上4人のボックス席の他の3人が、落ちついた大人だ。向かい側のひとりは50代後半か。ラフな服装でも姿勢正しく静かに読書に浸っている。左横に座ったもう一人も50代後半か。とても物静かなサラリーマン風。思慮深い仕草が漂ってくる。左向かいの40代前半は、目がつり上がってキツそうな素振りを初めは見せていた。しかし腰掛けるときの仕草、前の人への目配せはとても物静かで柔和になっていた。初めは書類を見ていたが、すぐに書類をしまい、目を伏せて畏まったようにしている姿勢がいい。
 東京から横浜までの25分間、いい環境だとほくそ笑んだ。しかし当の私は窓際でウーロンハイを飲んでいる。酔っ払いが他人の品定めをするとは図々しすぎるのだが、外の微かな美しい雨に免じて許してもらおう。むしの良すぎる話だが・・。罰当たりかな?そんな勝手なことを思いながら横浜に到着。
 一気に現実に引き戻されて、今日の外食の店探しに頭がいっぱいになった。

山下裕二氏講演会

2013年11月02日 16時54分19秒 | 芸術作品鑑賞・博物館・講座・音楽会等
 「"日本美術"誕生!�・幕末から明治時代「激動期の美術」�・」と題した山下裕二氏の講演会に出席した。幸いに珍しく抽選で当たり、無料。幕末の1840年代�・明治初期の1880年代が対象の時期。小学館の「日本の美術」の「激動期の美術」の刊行に即した内容である。高橋由一、五姓田義松、川村清雄、狩野芳崖、川暁斎、狩野一信、月岡芳年などの私のブログで登場してもらった画家のほか多数の画家、そして工芸・彫刻・建築などの分野での作家の紹介があった。
 紹介にとどまらず、作家が何に苦闘していたかの触りにも言及がされたと思う。時間の制約であくまでも"さわり"だが・・。
 この時期の、極めてエネルギッシュで奇矯で、耳目を集めようとす表現には圧倒される。川鍋暁斎もその脈絡で捉えなくては評価は出来ないと実感した。いや全体がそうなのかもしれない。

 歴史的には近世と近代との境は明治維新である。そして日本は劇的な転回を短時間で果たしたことになっている。しかし当の時代に生きた人々はどのように時代を認識し、その転回を受容したのか、講師の問題意識は私のこだわりに近いかもしれない。今の時代もそのような時代かと思っている。自分に引き寄せすぎかもしれないが、人が時代に対峙しようとするときの心構えとしては大切と思う。

 「外来の刺激があまりにも強い時代には、「美しい畸形」ともいうべき造形が生み出される。戦後の前衛美術もそうだし、幕末明治の美術もそうだ。」
 なるほど、心に留めておこうと思った。

 引き続き、時代を引き寄せた先駆者に敬意を忘れないようにしよう。

   

 そして これまでの人生の経緯をふまえて人の意見に耳を傾けるのも楽しいが、 予断・予見なしで学ぶこともまた楽しいものである。どちらも、ゆとりを持って人の意見を聞くことができるようになった自分を褒めることとしよう。