今、私の前に佐藤鬼房句集がある。佐藤鬼房(1919-2002)は岩手県釜石市出身。1940年から敗戦まで徴兵により中国や南方で転戦。1985年に宮城県塩釜市で俳誌「小熊座」を創刊、主宰。戦後は社会性俳句の代表的作家として活躍。戦争の記憶などにこだわりつつ作句したという。
学生の頃から名前だけは聞いたことがあるが、この薄い芸林書房の「佐藤鬼房句集」を購入して目をとおしたのはいつだったか、覚えていない。10ページほどを読んでそのままになっている。発行は2002年4月だから作者が亡くなった直後の出版である。
やはり気になる俳人である。まずはこの小さな句集を読み通すことから始めようと思った。まずは「名もなき日夜」から。
(濠北スンバワ島に於て敗戦)
★吾のみの弔旗を胸に畑を打つ
★戦病の夜をこほろぎの影太し
★夕焼けに遺書のつたなく死ににけり
★生きて食ふ一粒の飯美しき
★雨期長しクレオソートに胃ただれて
★虜愁あり名もなき虫の夜を光り
★ひでり野にたやすく友を焼く炎
★向日葵の首より枯れて夜にたてり
学生の頃から名前だけは聞いたことがあるが、この薄い芸林書房の「佐藤鬼房句集」を購入して目をとおしたのはいつだったか、覚えていない。10ページほどを読んでそのままになっている。発行は2002年4月だから作者が亡くなった直後の出版である。
やはり気になる俳人である。まずはこの小さな句集を読み通すことから始めようと思った。まずは「名もなき日夜」から。
(濠北スンバワ島に於て敗戦)
★吾のみの弔旗を胸に畑を打つ
★戦病の夜をこほろぎの影太し
★夕焼けに遺書のつたなく死ににけり
★生きて食ふ一粒の飯美しき
★雨期長しクレオソートに胃ただれて
★虜愁あり名もなき虫の夜を光り
★ひでり野にたやすく友を焼く炎
★向日葵の首より枯れて夜にたてり