横浜駅の地下街にある百円ショップで何気なく、+1.0という表示のある老眼鏡をかけてみた。意外と近くが見えることに気がついた。2m先はぼやけてほとんど見えない上に、かなり目の周りの筋肉が緊張するのがわかるものの、30センチ~60センチくらいの範囲が大きく、鮮明に見えた。度としては少し強すぎるが、これよりも弱い度のものはなかった。
とっさに購入した。模様は6種ほどで、どれも趣味ではないが、家の中では問題ない。そのうち二つは小さなケースがついて、喫茶店でもどうにか目立たないものがあった。
本日帰宅したところ岩波書店の「図書」2月号が届いていた。
長時間かけていると疲れる。裸眼でいるよりもかなり疲れる。しかし鮮明に見えるのでうれしかった。
とりあえず「図書2月号」の司修の作品を掲載した表紙をじっくり見て、裏に記された司修の文章を読んだ。
作品はこのところ原色が配置され、画面全体が明るくなってきている。今回はこれまでよりさらに赤・青・緑が美しく配色されている。
中央のドーム状のものは文章によれば、氷の壁であるらしい。私は見てすぐには火山課と思った。そして人間の頭らしいのが青いボリューム、緑と黄色で着色されているものが腕のようなボリューム。画面左下には手の形をした赤いボリューム。右側の紫の蝶のような形は何の形であろうか。左上の白い三日月様の形にも惹かれる。
ドーム状ののものは音楽の指揮者の造形かもしれない。左側の赤い手は演奏者なのだろうか。そうすると右下の紫の形は聴衆のイメージだろうか。左上から対角線に仕切られた右側は黒く、左側は白や赤などのボリュームが詰まっている。左から右側に物質の放射があり、右側に躍動感がある。
作者の言葉を引用してみる。
「1996年1月23日の朝方の夢は、武満徹さんとはっきり分かる人が、南極の氷の原にいるのを見ました。巨大な氷の板にはりついて武満さんは鑿をふるっていました。‥ガウディのサグラダファミリアを思わせる氷の塔は、ピンク色に輝き、すでに完成した武満さんの音楽が記録されていました。‥「嵐に耐えて塔は鳴っている」と武満さんがいいました。‥塔の中に入ると、何も飾っていない美術館なのでした。‥夢はなぜか大江健三郎さんと会っていて、私が幼い娘が作曲した「夜のかなしみ」という楽譜を渡すと、大江さんは、「夜の蚊の染み」にしたらいいと助言してくれました。‥1996年2月20日、武満徹さんが亡くなったニュースを‥。」