★パン焦げる匂ひしてくる四日かな 澄田玄志郎
★一年の計の揺るぎし四日かな 岸間光女
★賀状うづたかしかのひとよりは来ず 桂 信子
四日はいつもの年ならば仕事始めの人も多い。四日というのは正月気分を断ち切る日でもあった。
今年は5日が日曜日、仕事始めは6日のところも多いようだ。しかし勤務時間の多様化が進み、元日からの仕事の人の割合も高くなり、一斉の仕事納め、仕事始めという人の割合は極めて少なくなったと言えそうだ。
第1句、そうはいっても、四日からいつもの時間に起床し、いつもの時間に朝食になり、いつものとおりに出勤するという光景も絶えたわけではない。朝食がどちらかというと手軽なパン食の家庭も増えている。日常が戻ったという感慨が湧いてくる。
第2句、たとえは元旦に決意した早寝、早起きなどもろもろの決意も、崩れてしまうのもこの日からである。わたしも決意しても4日、5日と続いたためしがないまま、今年は69歳になってしまう。元旦の決意ほど自分でも信じていない決意はないのではないか。
第3句、賀状というのは過去の事柄や体験などを引きづって、現在やり取りしている人が確定している。健在であるはずなのだが、来なくなったことがとても気になることもある。どこか秘密めいて艶めかしい物語が匂ってくることもある。一方で高齢で「年始の挨拶は今年限りにしたい」という賀状もある。亡くなってしまったことをあらためて実感することもある。どんな想像がいいのだろうか。