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オリヲン座からの招待状 (2007/日)(三枝健起) 70点

2007-11-13 19:15:01 | 映画遍歴
意外や日本映画では映画の衰退史的ないわゆる「ニュー・シネマ・パラダイス」映画は存在していない。映画の衰退は世界的傾向であり、テレビへと移行する国民大移動を映画で今まで捉えることはなかった気がする。
その意味ではこの映画は地味すぎる嫌いはあるものの立派にカツドウヤの生活を丹念に追い続けている。フィルムを調節する機械、映写室から見える小さな窓、その窓から見えるフィルムの映像、、映画ファンでは応えられないシーンである。
私にはその生活をただ映してくれただけでもうれしい映画なのである。
映像も意図的にクリアでないところは雰囲気を大事にするそのテーマにもよろうか、牧歌的でいい映像である。ストーリーにそれほどドラマ性がないので通常の映画のような盛り上がりに欠けるのが難点といえばそうなのだが、僕はそれでもいいと思う。
ただし、ラストのなぜオリオン座をここまで守ってきたのかという女からの問いに「あなたが好きだったからです」というのは、やはり映画のノスタルジーがこの映画の主要テーマであるからにして、ちょっと無理があり、せめて映画を愛する心と同じくあなたも愛していた、とか女が死ぬ前であるので無理してそういったというのであるなら盛り上がるところなのだが、映画に関して何も言わないというのは本当はそれほど映画を好きでもなかったのかなあと、われら映画ファンを裏切りことになりかねない。
映画館で時々垣間見る映写室、僕も本当は一度ぐらい操作したいといつも思っているのである。やはり映写室は神聖です。

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