大体2,30分でストーリーが分かってくれば、なぜこうもこの映画、静かなんだろうなあと思ってしまう。人生とはエンドがあって初めて人生といえる。でもそのエンドが10年先に伸びたのなら、人は静かにエンドを迎えるのだろうか、、。
役所が最後に切腹のために家を辞去する際、微笑みながら、なぜか足の運びも軽やかそうに見えたのは僕だけだろうか、、。自分が死ぬ。夫が死ぬ。父親が死ぬ。それはすごく凄絶なことなのに、この映画は残されたみんな、和やかなのだ。
自分が死ぬ。といってもそれは藩のため。藩のためということは家族のため。同僚藩士のため。たった一人の犠牲でみんなが生き長らえる。それが分かるから役所は明るく死んでゆく。
不思議なんだが、この映画の底流に流れている静けさのために、人の死を静かに感じ取ることも、そして自然とともにそれを共有することも人の営みの一部分だと思われてくる。
ある意味、時代劇を御したファンタジーなんだなあ。
それにしても役所始め、出演者は一同みんな見事な演技でした。この演技がなければこの作品の死生観は表れなかったでしょう。でも何故か違和感もあります。ファンタジーといえども。
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