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瞳の奥の秘密 (2009/スペイン=アルゼンチン)(ファン・ホセ・カンパネラ) 80点

2010-08-26 15:14:44 | 映画遍歴
男と女の愛の時間。結婚して一緒にいるのが当たり前になってから特に何も感じなくなっているのが通常だろうけれど、この映画のように愛妻を突如亡くした男が辿り着かねばならなかった愛の巡礼歳月。それは果てしもない人間の心の遠吠えを聞いているようだ、、。

映画はその殺人事件をベースに、秘められた愛の姿をオーバーラップして行く。何と、こちらも25年をかけた歳月をかけてやっと獲得したひとひらの花びらのような心もたないが、強い愛の姿である。

この二つの愛の姿の前に、我々は2時間をミステリーの読み解きに過ごすことになる。随分、観客をある意味ぞんざいに扱った手法であるようにも思う。でも、長編小説を読んでいるときのようなゆったりとしてむしろ冗漫な感覚がこの映画を支配しているが、観客は我慢しなければいけないのである。

登場人物たちが長い歳月の時間を過ごしたように、観客たちも同じく長い時間を過ごす。ショッキングなラストと共に辿り着く愛の獲得は、急遽、観客を映画の登場人物と同じように至福に到らせる。こんな設定の映画はやはり南米だからこそ作られたのだろうなあ。秀作だと思います。

中盤のサッカー場の空高く舞い上がり地点から急降下して犯人を追跡する、このワンカットワンシーンは震えた。冒頭の哀切な別離の列車シーンも美しく、この監督、映像にはかなりの自信があると見た。ただ、冗長なセリフも多く、いかにこの映画のペースに我慢できるかがキーだと思う。こういうようにいろんな映画作風を見るのも勉強であり、楽しみであるはずなのだ。

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