おばちゃん7人と駆け出しバスガイドのしょぼいお兄さんがいます。おばちゃん役の7人は全く無名の俳優さんたちです。しかも一人も美人がおりません。これは映画反則なのかもしれません。
7人が小さなバスツアーで山に迷い込む話です。特にストーリーはありません。
テーマ的にハリウッド版「ポセンドンアドベンチャー」のような災害に対する人生の勇気を得るといった代物では決してありません。7人それぞれの人生が多少なりとも描かれるわけではありません。オペラの自称プリマドンナから場末の人生に疲れたスナックママまで職業は多彩だが、それが掘り下げられることは一切ありません。
他愛ない女どものちょっとした奮闘記ではあります。災難時の勇気という捉え方からすると、ちょっと考えればヘマをせずに済んだおばちゃんたちの災難劇です(迷ったら山は下りないという鉄則も語られません)。それだけの話です。そして沖田の映画にしてはめずらしく大したユーモアもありません。
ところがところが見ている間と~~ても面白いのです。90分、画面に釘付けなんです。これほど何もない映画なのに何の魅力があるのでしょう。不思議です。
そう、あるとしたら映像と観客を取り持つ空気感だけです。この空気感がたまらんのです。こんなに何もない映画なのに映画館を出ても映画の余韻がなくならないのです。不思議です。
でもそれはこの映画が実に秀逸な映画であることを示しているからなのかもしれません。フランス映画であったように7人全員の主演女優賞というのもあるのかもしれません。
沖田修一、ヤッタネ!!
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