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宮廷画家ゴヤは見た (2006/米=スペイン)(ミロス・フォアマン) 75点

2008-11-09 11:23:29 | 映画遍歴
まさに歴史ドラマです。革命の動乱に伴う一人の女性の悲劇を中心に据えているので歴史のうねりに翻弄される女性の人間像がナタリー・ポートマンの壮絶な演技を通じて伝わってくる。

ナタリーの演技は本当に青白い光を伴って鮮烈に画面から伝わってくる。獄中に15年も居た女性の呆けた様子は若く粋のいい容貌を見ているぼくたちにとってはショッキングともいえるぐらいだ。演技派を目指しているのが分かる。

逆に対するハビエル・バルデムがいつもの覇気がなく彼らしくない。最近演じている超個性的な役柄ではないのでどうしてもそう思ってしまうのかもしれないが、別に彼でなくても良かったような役柄でもあった。ラストの刑場で成長した娘を垣間見てこの世に別れを告げるシーンはさすがだと思ったが、演技をする部分が少なかったのかもしれない。

でも特筆すべきは蝋燭の火を光源にした静謐な西洋画のような映像であろう。実に美しい。どれを取っても秀逸な絵画である。もう画面を見ているだけで美術館に居る気分になる。この映画はまさにそういう意味で映像を見る映画なのかもしれない。

ハナシとしては中世の狂的宗教、革命に明け暮れる展開に映画的エネルギーも感じられるが、少々平板でもある。そもそも画家ゴヤの存在が狂言回しとはいえ、映画的意味を成していない。でもこれほどの映像美は加点材料。また久々のミロス・フォアマン映画は我々ファンにとっては実に嬉しい限りであります。

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