冒頭の、車で走る東京の街の風景がいいね。なんだか懐かしい。かれこれ東京に20年近くも住んでいた吾輩にとってはこのフィルムは郷愁に近い感さえする。
先日WOWOWで、前作「深夜食堂」を見たところだったので、何だかその続き感もうれしい。
けれど、WOWOWの大きさと、スクリーンでの大きさの相違に最初は戸惑う。この映画はテレビバージョンぐらいのサイズの方がいいのではないか、特に第一話が内容的にもスケール的にも、その感を強く持ちました。
しかし、第二話ぐらいからは僕の目も慣れて来たのか、それとも話にぐいぐい引き込まれたからなのか、サイズなんか全然気にならなくなりました。画面に没頭しました。キムラ緑子の演技に酔いました。鋭い、色濃い演技でした。彼女の役者人生を感じさせました。
ところが、第三話になると、何と渡辺美佐子の久々の主役出番です。これがすごい。彼女の全人生を、九州から、若い時一番大事なものを捨てたその残像を求めて、東京に降り立つ老婆にオーバーラップさせ、見事演じ切ります。
車から見やる老女に窓を開けましょうかと尋ねる女運転手がいい。
キムラ緑子さんも渡辺美佐子も生粋の演劇の人だから、身体で演じるという基本に長けているのでしょう。そういえば小島聖さんも舞台人です。彼女たちの演技、すなわち人生そのものをフィルムで見ることになるのです。圧巻です。
またまた続々の深夜食堂が見たいなあ。もう今からそう願っています。秀作です。それから、蛇足ですが、この映画は空腹時に見ない方がいいですよ、、。
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