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ハゲタカ (2009/日)(大友啓史) 80点

2009-07-09 11:37:59 | 映画遍歴
最近結構上映される経済暴露的アメリカ映画がいよいよ日本でも製作され、しかもある一定の水準を確保しているということに驚きを隠せない。

題名があまりこの映画の内容からはピンと来なく、またこの良質な映画のイメージを損なっているような気もするが、それはTV放映の関係もあるのだろう、不問とする。

この映画で気になった人たち。まずアカマ自動車の社長。企業経営する上で「夢・希望を全く求めない」社長。それを求める人間を古臭い経営感覚という。企業も生きているのだから、ただ数字だけを見続け利益だけを求めるには大企業としても限界があると思う。夢はなくとも希望のない会社に未来はないと思う。その社長は、結局解任されてしまうが、、。

一方、子供のときアカマの最速自動車を農道で見てからアカマに夢と希望を持って生きてきた男。悲惨な生活から抜け出すためにも彼にとってはアカマは希望の星だった。

一企業に夢と希望を見る男ともはや夢と希望を捨てようとする経営者との並列はすこぶる面白い。僕がこの映画で気に入ったのはここだ。両者とも映画ではたまたま自滅してしまうが、今生きていく上で一番求められるのは、生活をする上でも、仕事をする上でも、勉強をする上でも、一番求められるのは希望なのではないでしょうか。

人間は希望なくしては生きていけない。どんな小さな、些細な希望でもいい。何か、支えがなければ生きていけない、人間ってそう強くはない。明日があるから生きていけるのだ。高校生時代に読んだキルケゴールが言う。「死に至る病、それは絶望だ。」と、、。

派遣労働者の一連の騒動、アメリカ証券会社から派生する世界的株価暴落の漫画的表現は少々気にはなりましたが、核となるこの二人の男の対比は堂々とこの映画を支えていました。題名からは推し量れない重厚な作品です。冒頭にも書きましたが、日本映画でもリアルハリウッドタイプが生まれた稀有な作品といっていいのではないでしょうか、、。

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