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相棒 劇場版II 警視庁占拠!特命係の一番長い夜 (2010/日)(和泉聖治) 80点

2010-12-31 19:03:51 | 映画遍歴
最初の中国船爆破のシーンのしょぼさに、やれやれ通常の娯楽作品かなあと思ったが、とんでもないものすごい快作だった。テレビシリーズの映画版がこれほど質が高いということの意味を考えてしまうほどレベルが高く驚いた。

僕はミステリーが好きである。その僕はこの映画に特にミステリーを期待はしていなかったのであるが、この映画には謎解きいわゆる本格モノが二つ埋め込んである。一つはなぜ犯人はピストルを目につかせたのか、というミステリー。これは【小西真奈美】の熱演にもよるが実にすばらしい解決話が僕らを無償の愛にいざなってくれる。この映画の質を高めてくれ胸がジーンときた。

もう一つの謎は監禁中の変な音であった。何だろうなあとは思ってはいたが、解答はなかなか面白く、一瞬にして殺人に至る行程が優れものだ。正当防衛だと思っていたものが実は完全殺人だったわけだ。

12名の人質にされる官僚も全員同じ穴のムジナだったり、しかし一人だけノンキャリの星と目される人がおり、さらにその人の悲劇をラストに持ってくるなど脚本も念入りだ。

テーマは警察制度と人間にとって正義とは何かという結構固いものなのだが、それらは俳優陣の熱演と熱気で娯楽作品に醸し出している。いつもいい味を見せている官房長の【岸部一徳】がまさかと思われる最期を遂げるのももったいなく、まただからこそ潔い幕締めとなる。ある意味贅沢でさえある。

このように究極の愛あり、ミステリーあり、警察官僚いわゆる政治の腐敗をたっぷり描いてしかも一級の娯楽作品にしているあたり、制作陣のものすごい意気込みを感じられる秀作であります。日本映画なかなか大したものです。

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