あの血も凍るそして煮えたぎる『チェイサー』から2年。2作目は思ったよりアメリカ映画的だったかな。前作のとにかくおどろおどろしく地下の要塞に引き籠って行くイメージから少々ハリウッド的にはなっていましたね。
この映画の理詰めで面白いところは一つの殺人が重複依頼だったということなんだよね。これだけが最後まで謎で残り、ラストでやっと観客に知らされるんだけど、まあ面白いけれど作り過ぎたミステリーぽいね。
そんなことより、この映画の神髄はやたら肉体がちぎれ飛び交うバイオレスシーン満載と朝鮮族の存在だろう。前者は映画としての見せ場として何度も見せてくれるので映画をかなり見ている僕でも目が点になるほど。
そして後者の朝鮮族の哀しい生態では、秀作『キムチを売る女』の荒涼とした寒風景が今でも印象に残っていますが、今回も民族格差社会の底辺をよく描いていました。特に主人公がソウルに密航するまでの朝鮮族の生態描写は荒々しく強い。映像的にも鋭い。
前作は人間の暗黒部分の粘着力に強く引き付けられましたが、本作はそれらがあっと飛翔して飛び去った感がありますね。マイナーからメジャーへ変わったとでも言うべきか、でも僕は前作の下降閉鎖したどんづまりイメージが好きですね。そういう意味ではやはり【ナ・ホンジン】でも普通に言う2作目の映画を作ったのかなあと思っている。
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