コメディなんだが、題名から窺い知れるようにヒューマンだと分かっていて観客は見ているわけである。で、結果その通りなんだけど、途中は結構主人公の悪人振りが際立ってしまい、またその部分も長いから、いつ目覚めてアットヒューマンな展開になるのだろうとみんな期待して見ている。
それまでの間は長いとは思ったけれども、先生が人間性に目覚めてから30分はなかなか見事であった。特にチャ・スンウォンの演技はかなり秀逸。 . . . 本文を読む
ギドクはいつもシンプルだ。テーマは剛速球。それでいて、人生の深淵を追求しているのでぐいぐい観客を引っ張る強さがある。
今回は意外や古くて新しいテーマ「愛」である。しかも、顔という一番俗っぽく、とは言うものの重要な部分を執拗に追い詰めている。
この手法は勅使河原宏が40年前に「他人の顔」で実践している。勅使河原宏ほど前衛的でなく、むしろ整形手術を用いて、いわゆる通俗的なのである。でも、映像全体はギド . . . 本文を読む
結構演出も緻密で、展開もスピーデーなんだが、内容がかなり低俗だ。こういう映画を見ていると、何か好奇心だけがものすごく膨張した人間になるようで、とても不快だ。
まず、教え子とセックスを楽しむ女。その同僚に同性愛的な興味をもって、蟻地獄のようにうまくはめようとする老同僚。こんな話がいい脚本の手になっても、通常の観客に訴えるものは矮小であろう。二人とも、俗っぽ過ぎると言うのかな、ただ行動から入っているの . . . 本文を読む
一個人が国家権力から逃げ、逆の真相をつかむために、対抗していくさまをスリリングに見せた秀逸アクション映画だ。
原作が綿密なのだろう、傷を負いながらも、自分で応急処置をし、逃亡していくシーンはリアルで面白い。そこらにある日用品が、手術に必要なものや、大量武器に変質するなど、訓練されている者と日常者との違いを見せ付けられる。こういうところは興味が引くところであった。
マーク・ウォールバーグは初めてとい . . . 本文を読む
相変わらずストレートに見せてくれないストーリー展開には少々苛立つも、まあ今までの作品よりはかなり分かりやすくなってはいる。
今回のテーマは手品。映画との接点も多く、興味深いが、ミステリーと違い、ある程度観客に知らせておくべき提示がほとんどないので、ミステリーの謎を解く楽しみがないのが少々残念というべきか。
それでも、舞台のためには日常を犠牲にしてまで欺く生活を強いられといったネタバレはかなり面白か . . . 本文を読む
この映画、ほんとキモイ。これは女のひとの、どろどろした赤い感覚が最後まで映像を通してこちらに伝わってくる。男の僕にはまるっきり入り込めない、イヤーな不快感があります。
もう、女の人が、全速力でまい進している感じで、途中で何回も僕を攻撃する高い吠える声、もうこの世のものと思えない不快感を感じました。
といいながら、最後まで見てしまった僕も、かなりの忍耐強い性格であると、われながら自分をほめてあげたい . . . 本文を読む
3年後に小惑星が地球にぶつかって、人類が絶滅すると知ったとき、それからの人々の行動、意識、、、。
うーん、なかなか面白いテーマです。考えさせられるものが多いです。ある意味、身近であり、また哲学的でもあります。
でも、一斉に人類が一瞬に消滅するのであるなら、それはそれでいいのではないか、なんて思っちゃいます。
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伊坂幸太郎は現代の奇跡だ。読みやすく、粋で、本音が大部分で、展開が面白い。若者に迎合していないところがいい、と言うとヤングから怒られるかもしれないが、それほど本当の庶民びいきだ。
ちょっとしたところの言葉で正直びびんと感じてしまうところが多い。
いや、この年になって、こんな若い人から人生をまだまだ教えられるところがあったのかと、うれしいやら悲しいやら、、。
好きだなあ。伊坂幸太郎、この人の作品をまだまだ読んでいないので、明日から楽しみが増える。
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市川準、風采は老人めくが、意外やまだ50代の監督なのであります。だが、市川準が思春期の女の子の繊細な心理をテーマにする映画を撮ると聞いたとき、どこまで入り込めるんだろう、と思ったのも事実です。
しかし、また斬新な映像を仕上げているので、全く違和感はなく、むしろ思春期などというものではなく、広く世代を超えた人間としての関係性にまで及んでいる驚くべき濃い内容で、驚き、またいつもの全体に及ぶ透明感は健在 . . . 本文を読む
北野武の映画を僕たちは見に行くために映画館に足を運ぶわけである。別にビートたけしのお寒いギャグ連続を見るためにスクリーンを眺めているわけではない。
言いたいのはそれだけだが、前作「TAKESHIS’」辺りから相当の壁にぶつかっているようで、痛々しい限りだ。
「座頭市」で多少の興行成績を得たのが仇になっているのかなあ。映画を作りたい何かがなければ別に作らなくてもいいのではないか、なんて僕たち北野ファ . . . 本文を読む
毎回いつも見てしまっている。でもだんだん、気になり度はテンション的には下がっていると思う。まあ、自分の年齢を考えればテンションがあがるはずもないが、それほど今回がシリーズのラストであるとの認識もなく、見た後もまだまだ続きそうな感じではある。
とは言え、前半は少々退屈したわけではないが、実際かなり眠かったのは事実。これは僕の体調にもよることなので何とも言えないが、ジョニー・デップが中心でない展開はあ . . . 本文を読む
この映画は現代劇で秀逸な演出を見せてくれる平山秀幸の最新作、というだけで期待してしまったが、見始めてあっと気づいたのは僕が「落語まるでダメ人間」だということであった。
そうなんですね、若いときから落語は全く興味がなく、ずっと無視してしたような気がします。その僕が、2時間弱ずっと画面に釘付けになっていたのであるのは、テーマがそんなことにこだわらないというのもあるが、一方では専門家でない伊東四朗、国分 . . . 本文を読む
ただ、単純な、ミラーを拭いて全国を回ることに使命感を感じた男にも、最初はクリーンに見えた人間関係も、旅をするうちにしがらみが付いてくることに気づく。
人間が、人間からまったく乖離することなく、人間から自由でいられるはずもない、ということに主人公は気づいていくのだが、、、。
日本映画ではめずらしい無機質な感覚映像や、心理描写。タッチは少々カウリスマキ風。そう、俳優をフィンランド人にすると、まったくカ . . . 本文を読む
フランス映画でも、こんな実直な人生を描いた作品は少なくとも最近では珍しいのではないか、と思う。
それほど、日差し、土の匂い、木々の騒ぐ音、不安定な仕事、そのため明日が見えない生活、周囲の家族から自分への圧迫、、。
そう、まったく現代において僕たちが経験している精一杯の、当たり前の日常を、むせ返る愛の情念がお得意なフランス映画が丹念に、映像は絵画のように美しく描写しているのである。
そうなんですね、 . . . 本文を読む