前作「さよなら父さん」と同じく、時間軸の違う設定を一つの舞台で表現している。片一方が成り立っているときはもう一方は体を停止させる。なかなか面白い手法で僕は前作で慣れてはいるが、普通の人は戸惑うだろう。
しかも今回は二つの話の設定が同一人物だというのだから余計ややこしい。
それでも面白いのだ。作者の、愛についての考察過程が痛いほど聞こえてくる。人間はなぜ生きているのか。何のために生きているのか。愛とは何なのか。人はどうして人を愛するのか。
みんな普段考えていることである。しかしあまりに当たり前過ぎて過ぎ去っていく日常に埋もれてしまう。
そう、人はキリスト教だと最初はアダムとイブから発生したのだ。そのイブもアダムのあばら骨から作ったのだという。
この根源的な愛の希求はつぼさかの本質的なものなのであろう。そのギリギリの愛の考察がいかにも頼もしく素晴らしい舞台となった。つぼさかの愛の彷徨はまだまだ続く。
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