R・スコット、いよいよこんな映画を作ったんだなあというのがまず最初の印象。娯楽作で儲けて自分の好きな映画を作るといったスタイルが最近の彼の映画ライフである。でも「プロメテイス」でそれほど儲けられなかったから、一挙趣向の違った問題作をぶちまけたのではないだろうか、、。
そう、この映画はなぜだか、こうなってしまうというカフカ的不安映画ではあります。でもそのバックには思想的なものは皆無だ。ただ設定としてそうしただけのように思える。R・スコットの甘いところではありますネ。
けれどこれがなかなか面白い。俳優陣が今までのイメージを投げ打って演技的役柄を選択しているのも面白い。
たとえばハビエル・バルデムとペネロペ・クルスは実夫婦である。それを知ってか、ペネロペ・クルスはミヒャエル・ファスベンダーと冒頭でベッドシーンを演じファンをやきもきさせる。クロスはなんと最後哀れな亡骸を映画ファンに見せてしまう。これはスゴイと僕は思う。
対するあの恐ろしき風貌のハビエル・バルデムがなんと今回は普通の男を演じる。怖くてただ逃げ回る普通の男。「ノーカントリー」とは全く逆の設定である。
キャメロン・ディアスもこれまでのチャーミングなイメージを投げ打って、全身の血をどこから測っても100%の凄み悪女を演じる。これがなかなかいい。面白いもんだね。もう賞味期限切れの女優だと思っていたのに、まだまだ頑張っている。
プラビもラストでなんとも情けない殺され方をする、プラビファンが目を背ける役柄を選んでいる。最近彼はこの手の作品が多いけれどね、、。勇気が要ると思うよ。
そして主役のミヒャエル・ファスベンダーは結局話を進める役柄というか、黒子ですなあ。だから彼には名前さえない。
別に哲学的な作品ではないですよ。スコットのお遊びと利益追求姿勢がこの作品を作ったんだと思う。
けれど、エンドクレジットが出てからの観客の席の立つのが早かったこと。これが僕には一番印象に残りました。やはり映画ファンは残酷ですなあ。
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