障害を抱えた息子がいる中年の男の失業から始まる「人生はつらいよ」物語であります。前半は敢えてドキュメンタリータッチの長回しカメラの多用で、ああ、ここでもか、と見たくないような映像が続きます。
要するに、失業という今世界中で抱えている病巣をじっくり見つめた映画だといえる。でも、本当はじっくり見つめたくない代物なのであります。
前半の職業安定所での職員とのやり取り、元職場仲間との語らい、スカイプに . . . 本文を読む
何か最後まですっきりしませんでした。もやもやする気持ちが存在する。
冒頭からすみません。結構舞台を見ている僕でもたまにこんなことがあります。それほど体調が悪かったわけでもないし、どうしてかな。前日に若い大学生の演劇を立て続きに二本も(しかも、それぞれ140分という長尺版)見てしまったその反動があったのかもしれません。
若い人の演劇はやはりストレートで、もうとにかくエネルギッシュなんですな。その . . . 本文を読む
ミステリー的にはいかにもかなり外れている感は否めないが、クラシックが好きな御仁には例えようもないほど嬉しく、うっとりする小説であります。
コンサートに行って、演奏者がいかに楽器を奏でているのか、どう感じているのかなんて言うのは我等一観客にとっては想像の域を出ない。それらがしっかり描かれているのであります。
ミステリーの部分は冒頭と種明かしの部分の最後と、後は中ほどのちょっとだけ。そうなんです。 . . . 本文を読む
そして本日の2本目はこちらも学生演劇の関奈月。この劇団もセンスがいい。いつも感心させられる。今回はあの泣かせで有名な宅間孝行の脚本であります。期待できます。
歳月が思春期から青春期に至る10数年の恋物語。これを涙なくして観ることができようか。
長崎弁が強烈で、理解不能の言葉もあったとは思うが、それはそれで雰囲気も伝わりやはり方言は最高です。そんな長崎の民宿を舞台に繰り広げられる切ない恋の行方。 . . . 本文を読む
学生による演劇だけど、この六風館は作品選択のセンスの良さ、プロ並みの演技力、そしてカッコよさが抜群でいつも楽しみにしている。今回は大阪市内での公演で本当にありがたい。というのも、実は今日は夜の公演もあり、珍しい演劇のはしごなんであります。
そして「わが町」、、。名作だ、映画化もされたとは知ってはいたけど、ここまでの秀作とはいざ知らず、ホントぶったまげた。
一幕、二幕と、どこにでもある市井の人た . . . 本文を読む
ターセム・シンの新作。さすが、冒頭からのベン・キングスレー出演シーンは丁寧に撮っているが、転生してからは何故だか人が変わったみたいにB級映画してました。「落下の王国」を撮った監督とは到底考えられまい、、。
で、可哀想にライアン・レイノルズ、彼に乗り移ってからは、取り立てて言うところなしの完全凡作なんですよ。これじゃあ、俳優も浮かばれんですね。館内で途中退席の人の多いこと。最初はトイレかなと思って . . . 本文を読む
結婚していた女が男と駆け落ちし男を捨てる。男は時間の経過を経て自分の寿命が短いことに気づいたとき、ふと逃げた女に会ってみたくなる。そして、、。
夫を捨ててからの女の人生はまさにどぶ水を飲んだすさんだ生活ぶりを呈している。あまりに悲惨なので、少々小説的かなあと思ってしまうほどである。
それでも男の朴訥とした話しぶりにがいかにも女の人生のすべてを受け止めているようで、舞台は和やかな静謐に満ちている . . . 本文を読む
主人公があの弁護士でないこと(御子柴礼司シリーズ)、そしてあの検事の息子でないこと(岬洋介シリーズ)は中山の小説をこれほど普通のミステリーにしてしまうのか、と読みながら思ってはいたものの、これは内容的に、かなり目を背けなければならない描写のあるのを知りつつ、例の一連のどんでん返し(それも何重にも仕掛けられていることなど)などからミステリーファンとしては狂喜してしまいました。
特にカエル男の生い立 . . . 本文を読む
時々揺れる天井さえなければ、この群がる人間像が地震による避難所でのひとときだなんて思わなくなっている。あの阪神大震災からもう21年過ぎた。関西の人間からは、もはや過去のことになり果てているフシも現在では見えなくもない。21年は長い、、。
そう、この劇を大震災の避難所での出来事なんて、限定して観るとどうも狭い解釈しかできなくなるような気がする。僕は敢えて、どこかの病院で時間を止めて生きている人間像 . . . 本文を読む
冒頭からの15分。映画ファンを画面にくぎ付けにさせる様々な映画テクで、さすがスコリモフスキやってくれるじゃないかい、と思わせる出だし。僕のまなざしは微笑んでいる。
交錯する多数の挿話。何故か街中に突如現れる大型飛行機。その音響で割れるガラス。黒いしみ。映画趣味を奏でるシンフォニーが鳴り終わるまでは観客を高揚させる。
そして午後5時11分。今までのすべてが収束し、人は時間の帰属を見る。それは小さ . . . 本文を読む