ミステリー的にはいかにもかなり外れている感は否めないが、クラシックが好きな御仁には例えようもないほど嬉しく、うっとりする小説であります。
コンサートに行って、演奏者がいかに楽器を奏でているのか、どう感じているのかなんて言うのは我等一観客にとっては想像の域を出ない。それらがしっかり描かれているのであります。
ミステリーの部分は冒頭と種明かしの部分の最後と、後は中ほどのちょっとだけ。そうなんです。この小説はミステリーといえるほどのものではないけれど、あの、岬洋介の出ている間がとても溌剌と輝いているのだ。これだけは読んでみないと分からないだろう。不思議な行間です。
だから、ミステリーとして読むとほとんどの人が失望するのではないか。でもそれを十分補うほど音楽にかかわる人たちの行動、心境、演奏テクがとても読み応えがある。
ということはクラシックに何ら興味がない人は三文の価値もないということになるのかもしれません、、。
※コメント投稿者のブログIDはブログ作成者のみに通知されます