劇団伽羅倶梨『明日☆りのべぇしょん』（ 於・KARAKURIスタジオ）（作・演出 徳田ナオミ） 80点

入場するとき、劇団代表ナオミさんからのきれいな文字のあいさつ名刺が手渡される。いつもファンを大事にする人なんだなあ。今回もファンとの飲み会を入れている。残念ながら今回僕は参加できなかったが。以前に、ビールを片手に俳優さんと談笑した想い出が今でも強く残っている。あまり例のない劇団のファンサービスであり、嬉しい。

ところで今回の劇は日の出旅館。何年か前に見た覚えがあります。ところがストーリーは全然違っていて、その後の日の出旅館のようである。

冒頭男二人が釣り堀で竿を垂れている。暇つぶしで、一人はどうもあまり人がよさそうには見えない。そして彼らはある悪だくみを、、。

なかなか面白かった。ずっと見ている劇団だが、安易な人情ものではなく、シビアな人情ものになってきている。そのため、脚本の掘り下げはきびしく、そして俳優の演技もキレが必要になってくる。観客を引き込むテクがこの劇では特にうまいと唸る。90分、目が釘漬けです。

あの、旅館でのラストのやり取りはなかなか深く交錯しており、うまいねえ。しかもあれでじゃーんと終らせずに、最後はまた釣り堀に戻り、二人の男に改悛モノローグをさせ余韻が残るエンドにする。いやあ、ジーンと来ますね。練っています。

ただ望むべくは、岩本正治さんを除き、客演の辻登志夫さん・川畑七海さん・吉永真也さんなどが主要な役を演じている。確かに、辻登志夫さんの演技は際立つものがあり見事だったが、劇団員が脇役の脇役ばかりでは、劇団としての成長は見込めないのではと少し気になった。

例えば目立たないがいい演技をする井本コー子さんが今回はグッズ販売に専念しているのだ。なんともったいないことよ。僕は彼女が結構ほかの演劇を見回っているのを知っている。ものすごく演劇が好きなのだ。こういうところもナオミさんは分かって欲しいと一ファンとして思う。

でもいい劇だった。いつも何かをもらってほろりとなり、劇場を出ています。