随分とシビアなテーマで、大杉漣の遺作にふさわしい秀作となった。それにしても、2時間考えさせられます。映画を見ながらこれほど考え続けることもまた珍しい。そして実に分かりやすい作品であった。
死刑囚6人との対話。いつお迎えが来るか分からない彼らには明日はない。時間もない。人間として極限の時間が続く。けれど梗塞感のある時間だけが存在する。彼らとの対話の映像カットがうまい。途切れず、ワンシーン風に撮って . . . 本文を読む
このスポーツど根性物はステタイの定番であり、いわゆる「またか」というイメージでもあるのだが、やはりステタイの原点であり、どうあがいてもここに戻ってくる代物なのだ。
総勢何名が出演したのだろうか、20名近い俳優たちが所狭しと走り回るのである。疾駆しているのである。若い人もいればそろそろ中年と思われる人もいる。でも全員同じ気持ちで走っている。そしてそれは俳優たちのそれぞれの生の声なのである。
それ . . . 本文を読む
叙述ものでミステリーの名作と言われていた作品である。なぜかしら今まで全く読んでいなくて、いよいよ読むことになる。
まあ、アンフェアとか言われてるみたいだが、ぎりぎりですなあ。オレが章ごとに一致していないから、関係がはっきりしない。何度、前に戻ることがあったか。この小説こそ、ミステリーの最初の方によくある人別表がほしいと思う。
でもこの小説にかぎりそれだけができない、、。これがこの小説の叙述の真 . . . 本文を読む
なかなか今のブラックに近い企業の雰囲気を照らし、リアル。考えさせられます。身につまされるものがあるし、メジャー館でこの手の映画上映は嬉しい。主役の2人はいい。
どうしても吉田が目立ってしまうが、それはこの映画の特徴を表わしている。
最後の夢の島が浮いているのが惜しい。本当に夢にしちゃえばいいのに。 . . . 本文を読む
見終わって、ベトナムでこんなアート映画が出来るんだ、というのを見せたかったのが本音ではなかろうか、と思いました。確かに映像も美しく、凝ってる。俳優陣も美男美女揃え。格差社会も一応入っております。したたかな映画です。
でも、芸術至上主義というんでしょうか、僕も若い時だったらこういう映画に、はまったかもしれないと思う。けれどももう人生という歳月を充分経た吾輩からすると、どうも「らしくない」というのが . . . 本文を読む
いつも秋が来るとアミューズを見て、ふと人生を感ずるのが習わしとなっている。今年は一月ほどそれが早い。けれど、まさしくいつものアミューズの黄昏人生劇だ。
いつも通り3話のオムニバス。第一話はなかなか大胆でしかも味わいも深く堪能する。亡くなった男と会話する家族たち、、。素敵な話である。
第2話は、意外と軽やかなセンスのある楽しげなるお話。結論も出すわけでなく通過劇であろう。
そしてそれは第3話へ . . . 本文を読む
20周年公演ということですべて凝っている。まずHEPを使って、大がかりな大道具。迫力のある動き、20人を超える俳優陣にそれぞれ造形力の強い脚本で攻める。
子供時代と現代とをオーバーラップさせることにより人間の心の不変をノスタルジックに問う。これはうまい。20年の歳月が瞬時に色濃く示される。これほどの大人数の役柄ではあるが、ひとりひとり丁寧に描き込んでいるので、みんな主役のようでもある。
強いて . . . 本文を読む
ベネチア映画祭で高評価を得た作品です。確かに実力派の監督作品だと思われるタッチです。
冒頭からの出だしも面白く、映像は緻密、演技も濃度が高く、カメラワークも天から見下ろす角度まで多用し、まさに神の目を感じさせる俯角となり、ベルイマン風。すなわち、芸術映画風で、見せます。ところがこの息子の戦士が誤報だと分かってから、少々胡散臭くなってくる。
ここからはもう観客がどう映像を捉えるかに尽きるでしょう . . . 本文を読む