オーストラリア観光島でおきた銃乱射事件の犯人の日常を辿った作品です。大人になっても花火が好きで近所からも嫌われているそんなシーンから始まっている。大きな子供なのである。けれど社会はそんな子供を受け入れてはくれない、、。
常に音楽が鳴っている。クラシックであるが、少々不快に聞こえる。レコード盤が古いのか雑音さえ聞こえる。恐らくニトラムの心象の音色なのだろう、それがラストで彼が凶行に走るときにすっと音が消滅する。
気にしていた凶行は遠隔的距離からのカメラショット、少し銃声が聞こえてエンド。見事である。
実の母親と第2の母親ともいえる二人の女性の比喩的な女性像の造形も秀逸だ。所詮、男は女に育てられる。
主演したジョーンズはカンヌ映画祭男優賞を受賞したが、同じく20年ほど前作品賞を受賞したガス・ヴァン・サントの「エレファント」も題材は銃乱射事件であった。こちらの方は音楽がベートーベンのピアノ曲を多用したが、実に心地よい美しい音色でした。カーゼルはサントの作品も意識していたかもしれない。
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