あまり相性の良くないカンピオン作品だが、これは合格内。2時間、映像が最近の映画では抜きん出て美しく、また音楽にも力を入れて冴えわたっている。映画ファン、狂喜するところである。
でも主要俳優4人が一切内面を語らず、観客は彼ら、映像から取り入れるものを読み解くという作業を強いられるのである。この時点でお休みタイマーに入ると、何もない空っぽの映画になってしまうでしょう。
何か、訳ありなダンストが映像をよぎり意味を探ろうとしたが、実はたいしたことではないと見切った時から、カンバーパッチとマクフィーの関係性が実に大きくクローズアップされる仕組みである。(この時点で、ダンストの夫はすでに消滅している)
100年前、アメリカの西部でのジェンダー観はこんなものだろう。冒頭のペイパーフラワーを男性が作成しただけでゲイ的扱いされるのだから、まさに男の世界まっしぐらであったのだろう。しかも舞台は、むさ苦しいカーボーイたちがいる牧場なのだから、、。
実に繊細な映像から二人の心理を分析しながら見ているが、ラストはそれでもあっと驚かせる。母親を守っただけなのか、それとも愛する男として「こと」を起こしたのか、すべて観客の判断に任される。
でもこういう話は100年前という時代性の上に成り立っている。現代においては、化石のような話ではある。
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