先日、学生時代の親友のOSA君と会いました。
ドアの鍵は閉めたのですが掃き出し窓のロックを閉め忘れた私。
アパートに帰ると知らぬ間に彼が部屋に帰り布団を敷いて寝ていることがありました。
それぐらいに仲の良い間柄でした。
そんなOSA君が学卒後に就職したのは大手着物販売店です。
彼からは着物と5歳の子供用に羽織と袴を購入させていただきました。
彼との再会をきっかけに田中治彦さんの『成人式とは何か』を読んでみました。
さて、「成人の日」は1948年に制定されています。
現在の成人式が満20歳で行われているのに対して、民族としての成人布は13歳ないし15歳という若い年齢。
成人式が1948年制定と聞くと成人式と成人布が混同されているのではないかとも思われます。
1960年代の前半の成人の日の参列はスーツ、普段着、訪問着、振袖などが交じっていましした。
1967年頃に晴れ着ブームが始まったとノンフィクションライターの窪田順正さんが指摘されています。
1960年代の後半から晴れ着で成人式に出席する女性が徐々に増加しています。
1960年代から1980年代にかけては、国民所得も伸びました。
成人式の服装に費用をかけられる家庭も増加したために、成人式に参列する新成人は晴れ着を着るようになったのです。
つまり、晴れ着の販売がその時代に増加しているのです。
成人の日に晴れ着を着るブームを作り出したのは1970年に刊行された塩月弥栄子『冠婚葬祭入門―いざというとき恥をかかないために』であるとこの本では指摘されています。
同書には「親は成人式を迎える娘に晴着を贈って祝ってやる」の項目があります。
その累計販売約700万部のベストセラーとなったことからも、その本の影響が大きかったことが容易に想像できます。
1991年1月6日の日本経済新聞には以下のことが書かれています。
「卒業式に着る黒い羽織(PTA羽織とも言われた)がパタッと売れなくなり、あわてた生産地の新潟県十日町の業者が振りそでの生産に切り替え、大衆化路線に歩み始めたのが普及にはずみをつけた」とのことです。
静岡市呉服商組合の渡辺実組合長「成人式がなくなるかどうかは死活問題。
和服全体の売り上げは10年前より3~4割も減った」と述べられています。
呉服小売金額が1982年の約1.8兆円から2013年には3000億円と大幅に減少。
約30年間で6分の1にまで縮小。
そのうち約4分の1は成人式での売り上げだそうです。
いまだに晴れ着や着物の販売は減少し続けています。
成人の日がかろうじて、その売りあげ減少の歯止めとなっていますが、今後の人口減少を考慮すると減り続ける事には間違いがなさそうです。
それにしても、OSA君はいい時期に入社して、いい時期に会社を去っていると思った私です。
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