晦-つきこもり-

2006-10-23 18:54:05 | ゲームよろず
「学校であった怖い話」のついでに製作元の同じ「晦-つきこもり-」にも触れておこう。


「学校であった怖い話」がそれなりに注目されていたため、このゲームも上手くやれば波に乗れたように思うのだが、発売されたの時期がプレステやセガサターンが浸透し始めた頃でもあったため、結果として注目度の低いマイナー作品になってしまった感がある。


作品そのものは、「学怖に比べると微妙だが、単体で考えるならそれなりにおもしろい」というところだろうか。随所で指摘されているが、やはりまとまりのなさが質を落とす原因となっている。学怖が舞台を学校に限定していたから、様々な世界(職・年齢)に生きる人たちの様々な体験談を聞くという真逆の内容は理解できる。しかしそれなら、舞台設定にもっと気をつけるべきだったのではないか。例えば由香里一話目の深夜のデパートとマネキンの話や良夫二話目の林間学校の話は、身近であるという意味で、他人事でない恐怖をプレイヤーに感じさせるように思う(仮に都会の学校に住んでいる人でも、田舎の夜にいつもと違う空気を感じた経験のある人は多いだろう)。その一方で、泰明の話などは舞台がスタジオといった特殊なものが多く、事件自体は怖くても「へー、そうなんだ」という程度の感慨しか湧かない。これは由香里三話目の「富士樹海自殺者探索バイト」にも当てはまる。つまり、確かに何か出るのが当然な状況なのだが、そんなところに行くことがそもそもありえないからどこまでいっても他人事の感覚。身に染みる怖さにはならないのだ(ちなみに学怖で言えば、岩下二話目の無限廊下がその手の話で最凶だと思うがどうだろうか)。


次にやはり七話目の問題を指摘しなければならない。以上のような統一性のなさも、最後の持って行き方次第でうまくまとめることもできたはず。しかし、この七話目がまたあかん(苦笑)何しろ、選択肢が出る七話目は二つしかなく、まともにストーリーが展開するのに到っては一つだからだ。その上、両方とも怪談とは言いがたい内容だ(もっとも和子の話はアレでいいと思うけど)。また、選択肢がないシナリオもオチがよくできていればいいのだが、何じゃそりゃと言いたくなるものばかりである。隠しシナリオについても、風間は問題外として石の話のオチは酷い。せっかく離れた世界の出来事が繋がったというのに、何であんなにショボいオチをつけたのだろうか?意味不明である。


ところでこういったまとまりのなさに関して、「後味の悪さがいい」という人もいるようだ。言わんとすることろはわからなくもない。つまり、まとまらないことによるカタルシスの欠如が奇妙に絡み付いて印象に残る、ということなのだろう。しかしながら七話目の内容を見る限り、後味が悪いというより出来が悪いといった方が適切なのではないか、というのが私の意見だ。というのも、計算していたのではなく単なる作りこみ不足だと感じるからだ。もし仮に「後味の悪さ」が利点になるとすれば、それは全体をまとめるような七話目を二つほど増やすことにってであったろう(特に怪談に絡めたものが必要だったと思う)。今の内容は尻切れトンボに近い。


いちおう画像・演出は決して悪くないと思う。例えば目の表現や「首なしワンピース」は明かりのない中でやるとなかなかクルものがある。また、曲もオルゴールを貴重としながら和子のテーマなどいいものが結構ある。だから七話目さえもう少しちゃんと作っていれば、かなりいいゲームになっただろう。このゲームがリメイクされる可能性がないことも含めて、非常に残念である。

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