情報過多+格差社会+自尊心欠落=

2023-03-16 17:42:42 | 生活

 

 

「若いうちから格差が拡大して『勝ち組』と『負け組』がはっきりと可視化されている→『負け組』だと感じた側が早々に人生を諦めてしまう→現実逃避的に遊興にお金をつぎ込んだり、正当化が行われる(結果:犯罪も厭わない)」

「分断が進み、社会に参画できているという意識を持てない人が増えている。孤独と貧困のセットが犯罪者の道へ進ませる」

「自分で負けって思わない限り、まだ勝負は終わっていない」

「自分で自分のことを『負け組』だと思った瞬間に俺はもう『勝ち組』にはなれないと思ったから必死になって働いた」

 

動画で語られていることを抽出するとおよそこんな感じだろうか。非常に多くのテーマに繋がるが、箇条書きにするとこんな具合。

1:「見えすぎることの不幸」→ブータンの幸福度が低下した理由も参照

2:貧困は、経済的なものだけでなく、しばしば孤独(人間関係)といった社会関係資本の貧困を伴う

3:格差と分断(+情報と人の流動性)→「江戸時代の再来」などありようはずもない(昔には戻らん)

4:ルサンチマンを自己責任で放置することの愚鈍さ→犯罪拡大を放置するのと実質同義

5:結局周りを気にしてもしょうがないので、投げ出さずに努力する以外方法がない

6:とはいえ、OECD加盟国で比べても明らかに低い自己肯定感は、5のような対処法を難しくする(合併症問題)

7:格差を見てすぐにやる気を失う背景→かつての一億総中流化幻想が底流にある(あるいは教育含めたムラ社会的メンタリティ)

 

他にも色々指摘しうるが、ここでは問題が単一の症状によるのではなく、例えば「情報社会化+グローバル化+自己肯定感の低さ」といった具合に、極めて合併症的なものとして起こっているのであり、それだけに解決が短期的・包括的には困難だと言わざるをえない、という話(なので、他の国でも症状の軽重や対策の有効性の有無は違えど、似たようなことは起こっている点には注意を要する)。

 

社会政策を考える場合、まずこの見地に立つ必要がある、ということと、個人のレベルとしては、問題の複雑さ→諦めとならないような手当てが必要、という話になるだろう。まあ正直言うと、後者はすぐにどうにかなるもんでは全くないので、家族であれ友人であれパートナーであれ、信頼できる生活圏を作って助け合いながら自分を存立させていくしかない、という最も地道な話になると個人的には思っているが・・・

 

とここまで考えて初めて、じゃあさっきも出てきた社会関係資本の貧困(ちなみにこの話は以前紹介した中村敦彦鈴木大介の著作などでしばしば言及されている)はどうするの?という話になって、問題解決はもちろん、緩和すら困難である状況を痛感するわけだが(で、包摂機能としてAIやbotの話が出てくるわけやね)。

 

しかも、GPT-4などのようにAIの開発は急速に進んでおり、「人間の仕事が急速に無くなるか」まではともかく、これまでの労働観の変更を迫られる必要は今後ますます強くなっていくわけで、そのような状況の中で「働かざる者食うべからず」的なメンタリティの社会は、帰属場所を失くし承認も枯渇した人間を大量に生み出す危険性があると言えるだろう(古代ギリシア的な人間のあり方は認めませんよと)。

 

あ、日本は中小企業が雇用の70%を占めてるからそもそもそんなパラダイムシフトは無理か😅・・・お後がよろしいようで。


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