さて、久々にアホな記事も書いたんで、またぞろウクライナ侵攻に話を戻そう。
動画コメントにもあるが、ここぞとばかりに自分の政治的主張を押し通そうという手合いが多く見られる。それに乗ろうとするのでなければ、まずはこの現象のハレーションと、それに対する反応の仕方について突き放した冷静な分析をしておくことこそ重要だろう。
たとえば、この軍事行動が「成功」した場合の話だが、もちろん今後の国際秩序に多大な影響を与えるだろう。というのも、もはや軍事的侵略行為に(たとえ捏造であれ偏向報道であれ)「先制攻撃に対する自衛」という口実すらいらなくなった、ということを意味するからだ。
これはかつてなら、日本による柳条湖事件から始まる満州事変が、国連はじめ国際的非難を浴びながら、最終的には満州国建国という形で最終的には成功し、ワシントン体制崩壊に繋がったこと(念のため書いておくが今の世界秩序が完璧ではないのと同様、ワシントン体制=絶対善ではない)。そしてその後ではナチスによるラインラント進駐やズデーテン地方併合(ヴェルサイユ体制・ロカルノ体制の打破)という形で「力による現状変更」の流れを生み出し、英仏の宥和政策も相まって第二次世界大戦に突入していったことを想起したい。
また、こういった歴史の教訓が遠い話にしか聞こえないなら、中国の台湾侵攻を連想するのもよいだろう(ただしウクライナ=台湾という結びつけ方はさすがに地政学などで異なる要素も多く、短絡的すぎるが)。また、ロシア国内でのオリガルヒの反発やエネルギー戦略の見直しのように経済面でも様々影響が予測されるが、長くなるので今回は割愛する。
こういった波及効果を踏まえると、たとえばNATO加盟の西側諸国による「約束」違反が今回の侵攻の口実に挙げられ、それに理解を示す御仁もおられるようだが、様々な点でナイーブ過ぎると言わざるをえないだろう。
最後に、ウクライナ侵攻より少し前のまとまった話の方が距離を置いて聞きやすいと思うので、以前も例に挙げた小泉悠の講演動画を掲載してこの稿を終えたい。
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