森の案内人 田所清

自然観察「独り言」

ムキタケ

2006年03月05日 | きのこ・菌類
 陽気に誘われて、一年ぶりの早春の渓流に踏み入った。先日の淡雪のせいで雪原は凍みていず柔らかく歩きにくい。渓流の清流に浸されながら小沢を登っていくと、エナガの群れが梢から梢と渡りながら飛んでいる。ホンドリスも顔を見せてくれた。残念ながらイワナの当たりは無く昨年に続き初回はボウズである。
 川の岸にサワグルミの大木が倒れていて、その表面にムキタケが凍てついた状態で付いていた。昨年の遅くに出たものであろう、大きく成長する前に寒さのほうが先に来て中途半端な状態で生育できなくなってしまった。
 しかし、私にとっては一つポイントを得たわけで、今年の秋はここへ来れば間違いなくムキタケを採取できるわけだから、自然の恵みを独り占めできることになる。美味しいキノコだから嬉しい限りである。
 ところが、山の神はときどき無理難題を押し付けることがあって、貢物をしないと許してくれない。今日は大切なデジカメをこのムキタケを撮影したあとで沢の水底に落としてしまった。たっぷりと水を吸ったデジカメは再び電源が入ることは無く、山の神の貢物になってしまった。幸いミニディスクは生きていて映像を取り出せた。高価な代償を払ったのだから、今年はきっといい思いをたくさんすることが出来るのだろう。