森の案内人 田所清

自然観察「独り言」

スプリングエフェメラル その1

2006年03月25日 | 自然観察日記
 雪解けを待って、一斉に咲き出す可憐な草花をスプリングエフェメラル(春の妖精)という。今日は全国的な快晴。友を誘って角田の山麓を散策した。こぼれるような陽春の光の中、波音が聞こえ、ほのかな潮の香りも感ずるくらいの高台に点々と咲き始めた妖精たち。この上ない至福の時間を過ごすことが出来た。
 アズマイチゲ(キンポウゲ科)。イチゲは一花のこと。ごく似たものにクザキイチリンソウがあり、これも咲き始めていたが花の下に付く葉の形が違うから、細かな点まで観察できる人は混同しないだろう。イチリンソウの仲間は越後には多くまた量もあるから山好きの人間にはなじみの花であるが、毒草が多いから気をつけて欲しい。特にニリンソウを山菜とする人がいて、一緒に生育するトリカブトを混入させ中毒事件を起こした例がある。アブマイチゲも有毒とされる。

森の四季 * シロキツネノサカズキ(ベニチャワンタケ科)

2006年03月25日 | 自然観察日記
 図鑑では眼にしていたが、実物との初対面は角田山の山麓であった。早春の暖かい陽の光の中、スプリングエフェメラル(春の妖精)といわれる可憐な花々に会い、今年の山行の初日にするつもりで出かけた。メダケが茂る麓を過ぎて明るい雑木林に差し掛かるあたりに、宝石のようなシロキツネノサカズキが顔をだしていた。それほど珍しいものでもないと思うのだが、なかなか私の前に現われてくれないきのこだったから、小躍りしながらカメラのシャッターを切った。赤いきのこなのに「シロ」というのも気になるが、キツネノサカズキなどといわずに「妖精の杯」と名付けてくれれば、待ちに待った春の到来を「妖精」と一緒に過ごした今日の日にぴったりの名前なのだが。シロキツネノサカズキはしのう菌類のベニチャワンタケ科に分類され、枯れ枝な どから出る木材腐朽菌の一種である。(H18.3.25)