森の案内人 田所清

自然観察「独り言」

スプリングエフェメラル その4

2006年03月28日 | 自然観察日記
 キクザキイチリンソウ(キンポウゲ科)。青い花も普通に生育するが、今回は白い花しか見なかった。行動した範囲がごく限られていたせいであろう。先日取り上げたアズマイチゲに極似するが、花の下に付く包葉の形を見れば違いが判る。越後でも最もポピュラーなスプリングエフェメラルである。
 気温に反応し暖かくなると花が開くから、朝の早いうちは日が差していてもまだうつむいたままの個体が多かった。一般的に、植物が示す反応のうち刺激源に方向性があってそれに対するものを屈性といい、刺激源に方向性の無いものに対する反応を傾性という。例えば光は方向性を持つから屈性であり、芽が光の方向へ伸びるものを屈光性(+)などという。一方、熱や明るさは方向性が無いから傾性であり、例えば熱に対しては傾熱性といいうことになる。したがって、キクザキイチリンソウの開花は傾熱性によって起こるということになる。