森の案内人 田所清

自然観察「独り言」

小宇宙

2006年03月30日 | 自然観察日記
 さてこれは?
ケヤキの樹皮を拡大したものである。物事は視野の広さで見方や感じ方が違うものだ。ケヤキなど何処でもある樹木でその樹皮も見覚えがあるはずなのだが、拡大するととたんに何か判らなくなったり、あるいは気づかなかったことを新たに発見し感動を覚えたりする。
 月の表面のクレーターを連想させる穴や、風紋のような波状の突起。さらに、小さな突起が点在するのは何の群れだろうかなどと思い描くかも知れない。(この突起は皮目という呼吸のために利用されるもので、葉の気孔と同じ働きをする)
 拡大鏡の世界は、神秘に満ちている。顕微鏡の世界でなく、拡大鏡の世界が私は面白いと思う。目のいい人は、じっと凝らせば見えるかもしれないけれど、ほとんどの場合そこまではしない。ついついやり過ごしてしまう。それをカメラや拡大鏡を使って人間と等身大の世界にして見ると、美しい造詣や不思議な造詣が現われる。そこに、新しい感動があるものだ。そんな小宇宙をこれからも探して生きたい。