森の案内人 田所清

自然観察「独り言」

コブシの若い実

2011年07月25日 | 自然観察日記
川べりの公園にコブシの木があって良く見ると未熟な青い実が沢山ついています。どれも一つとして同じ形をしていない凸凹の実がついています。同行した人に「どうしてだろう?}と問いかけられました。

このモクレン科の種は種子植物の中の被子植物ではもっとも古い形の植物と考えられています。「種子」を作ることはできているとしても用意した胚珠(種子のもと)が全て種子形成に成功するわけでもなく、また種子を束ねる子房などのいわゆる果実が未発達で、一種の「出来損ない感」のある果実になってしまったままです。被子植物はその後出来損ないを修正するべく左右対称のような均整の取れたものに進化していったということだと思います。

若い実を切って見ました

2011年07月25日 | 自然観察日記
こぶしの若い実を横に切ってみました。丸く脹らんだところは種子が出来た胚珠の位置で、受精しなくて種子が出来ないところが未発達です。全ての胚珠で種子が出来ると長楕円形の均整の取れた美しい形になることが推測されます。確かに変形した同じ実をたくさんつけているのは不思議かもしれません。