森の案内人 田所清

自然観察「独り言」

ジキタリス(ゴマノハグサ科)

2006年06月09日 | 自然観察日記
 なかなか山野に出向けないから、今日も庭の花で繋げなければならない。ジキタリスはもう何年も前から我が家では野生状態で所かまわず出没し花を咲かせている。細かな種子をたくさん放出するから発芽から開花まで2~3年はかかるとはいえ、抜き取ってもどこかで成長し開花する。それなりに見栄えのする花だからそれもいいことにしよう。
 この花は心臓病の特効薬になる薬草としても有名で、昔から漢方で使われていた。逆に有毒植物ということになるから素人判断で使うと命取りになりかねないから気をつけないといけない。

クジャクサボテン(サボテン科)

2006年06月08日 | 自然観察日記
 我が家の最も豪華な花。今年も5輪咲いてくれた。冬の凍結さえ気をつければ栽培にさしたる問題も無く、毎年開花する。場所が限られるので大株仕立てには出来ない。
 棘のあるサボテン類とは異なるから生態もかなり違うようで、調べたら砂漠などの荒地に生育するのでなく、中南米の森林帯の周辺部の乾燥地に生育しているという。棘を持つサボテンへ進化する元になったグループなのだろう。
 シャコバサボテンなどはさらに森林性が強く、森林帯の岩場などの局部的な水分条件の悪い乾燥地が生育場所のようだから、サボテンのルーツは森にあると進化の道筋を自分なりに思い描いているのだがいかがなものだろうか。

マルバアオダモ(モクセイ科)

2006年06月07日 | 自然観察日記
 この花もいい花だ。もう咲き終わったけれど、ハイキングする山道でところどころにこんもりとした白い綿毛のような感じで咲いている。白い4枚の細長い花弁は付け根まで分裂しまるで糸のように蕊を包んでいるために綿毛の雰囲気をかもし出している。里山にあっては捨てがたい良い樹だと思う。同属にヤマトアオダモも点々とあるのだがこちらは花弁がないから、見た目の印象に大きな差がある。しかし、果実はいずれも翼果といってプロペラを半分にしたような実を付けて、ひらひらと落ちてゆく様は一緒だ。
 この属の木を利用して野球のバットを作るのだそうで需要に見合った材が確保できにくくなったと聞いた。資源の減少が気になる。雌雄異株の樹木だ。

ヤマボウシ(ミズキ科)

2006年06月05日 | 自然観察日記
 長岡に雪国植物園というのがある。越後の野生種を集め栽培展示をしている。結構貴重種も保護の観点で栽培されてもいる。
 ところが、地元の子供たちで一度も訪れたことのないのが約半数以上いる。昨年秋地元の某小学校の3年4年生を相手にこの植物園を舞台に植物の観察と野遊びをした。そのときにこのヤマボウシが赤い実をたくさん付けていてちょうど食べごろであった。初めて口にする子ばかりで恐る恐る食べはじめてその味を確かめると、次に驚きと歓声に包まれた。
 こんなことも今の子には初体験なのだ。オオバコで草相撲もはじめて、ススキのロケットもはじめて、ツバキの葉の笛なんか誰も知らない。上手く音が出せた女の子は鼻高々。
 自然に親しむに適した年代がある。私は3年~4年とみているが、興味を持って素直に向きあう時期にしっかりと自然に対する感性を鍛えたいものである。
 このヤマボウシは前の山から持ち帰った一枝を挿し木して既に20年以上は経つ6・7mに成長したもので、我が家には2本ある。秋の果実は小鳥の大切な食料になっている。

エチゴルリソウ(ムラサキ科)

2006年06月04日 | 自然観察日記
 ムラサキ科の仲間では最も好きな花だ。ムラサキ科の花は花茎がゼンマイのように巻かれていて、それが緩み解き放たれるように順次咲き出す。キュウリグサやハナイバナなどの雑草あるいはワスレナグサなどの園芸種などが馴染み深いのだろうが、エチゴルリソウの少し大きい花の澄んだ瑠璃色がなんともいえない。強く引き付けられるのは、生育している環境にも影響されるのだろう。里山でも越後の山間の雑木林の判日陰のところにこの花を見つけることが多い。かなりの個体が群れている私だけの秘密の場所がいくつかあって時々確認するのだが、一箇所は新潟県中越地震でまだ林道が使えないからその後の様子が判らない。

フタリシズカ(センリョウ科)

2006年06月03日 | 自然観察日記
 長岡の東山のスギの混ざる雑木林から連れてきたフタリシズカ、少しずつ株を増やしながら今年も咲いている。一般に2つの花穂からなるための命名、地味な花だがちょっと気になる存在だ。同じ仲間にヒトリシズカもあるがこちらはもっと存在感がある花である。
 その差は、ヒトリシズカは花弁があるのに対してフタリシズカは花弁がないためだろう。白いものは花弁でなく雄しべである。花というのも様々なタイプがあるが、それぞれの植物の戦略は何を意図したものだろうか。進化の妙である。

サワフタギ(ハイノキ科)

2006年06月02日 | 自然観察日記
 別名ルリミノウシコロシ。サワフタギ(「沢塞木」)といいルリミノウシコロシ(「瑠璃実の牛殺し」)といい、少々可愛そうな名前だ。サワフタギは必ずしも沢に沿ってあるわけでなく、山道を散歩したときに顔を出してくれる優しい花だと思う。材は固く丈夫で牛の鼻輪に使ったとか言われている。

ユキザサ(ユリ科)

2006年06月01日 | 自然観察日記
 数は少ないがところどころに小群落を作って咲いている。可愛い名前である。雑木林の林床だからあまり目に付く感じではない。
 これから残雪の残る亜高山に登ると大型の○×ユキザサの新芽がたくさん出ているところがあって、これを摘んで山菜としていただくのだが、なかなか旨い。ほとんど知られていない一品で、これからの時期の楽しみでもある。しかし、決して大量に取ることは謹もう。ささやかに春を味わう程度のもので十分喜びがあるものである。