前述の写真をさらに拡大しました。不鮮明ですが葉の縁に黒点が並んでいるのがかろうじて分かります。種の違いをこういう細かな点で区別するという作業もなかなか大変なこと。必要な場面はあまりないのかもしれません。
ゴンドラリフトを乗り継いで八方池山荘を降りてさぁこれからというところにノコンギクがありました。タカネノコンギクなどという種を聞いたこともありませんから里山にもあるノコンギクと思いますが、どこか違ったふうに見えてしまいます。花が咲く寸前で色づいたつぼみが印象的です。色が濃い感じはあるものの葉のざらつきは馴染みのある感触です。低山から高山まで広く生育する種ということになります。
この種も比較的低地から高所まで見られる種のようです。アカネ科の多年草で高原の草地にはよく見られますが、新潟県内の低地では生育していないのかほとんど見ていません。八方尾根ではそれほど大きな個体は気づきませんでしたが大きな個体は1mを超えてきます。十字形をした小さな黄色い花が密生して咲きますからそれなりの存在感があります。
登山道を上部から八方池に下る途中にタカネバラがありました。残念ながら花が見当たらずすべて終わっていましたが、実が膨らみ始めていました。タカネバラに出会うのもすごく久しぶりの感じがします。できればもう少し早く来て花を見たかったという思いは残るもののまた出直せばいいことと思い直しました。ハマナスよりは小ぶりで優しい花です。枝に出る棘も穏やかな感じです。刺さると痛いですが・・。
バラ科の花ついでにチングルマを載せます。これも花が終わってしまった後の果実の状態。チングルマの花は七月の頭がいいでしょうか、少し遅れてくるとすぐに独特な毛の多い果実の姿になります。この実の状態が比較的長く続きますからチングルマのイメージはこの姿。白い花を思い浮かべられる人が案外少ないかもしれませんね。
花がすでに終わっているグループの一つ。個体はそこそこありましたが花後のくすんだ色調で全く注目されません。色鮮やかな多種多様の高山植物が咲き乱れている中ですから致し方ないのですが、植物を理解するにはこういうステージの状態にも目を向ける必要があります。バラ科の低木で白い花が密生して咲きますから最盛期は株全体が白く覆われます。高山の尾根筋でところどころ群落を見ます。
カラマツソウの仲間でもう一種。個人的にはあまり馴染みのない種で今回初めて認識した種ですがオオカラマツといいます。それほど大型の種ではないのですがオオカラマツという名が付いています。花弁はなく一般のカラマツソウと同じような花ですが色があせた薄黄色でミヤマカラマツほどの鮮やかさがありません。登山道わきの草付に見られました。
新潟では深山の渓谷で渓流釣りを楽しんでいたころにしばしば出会った花で八方尾根で見るとまるで違った花に見えますね。一見八方尾根という渓谷とはかなり違った環境にも生育していることに新鮮なものを感じます。しかし、いずれも岩場で湿気の多いという条件は同じようなのでミヤマカラマツにとっては違和感はないのでしょう。まとまって生育している感じではなく他の植物に埋もれて花が咲いていました。花弁のない雄しべが目立つ独特なカラマツソウの花。小型で花が最も可憐な種です。
ムラサキ科の花は青い花が多い中で白い花をしたミヤマムラサキです。ムラサキの高山種だそうです。ムラサキは日本に自生する種だそうですが今まで出会ったことがなく染料として栽培しているところがあるという話も聞くのですがこれも見たことがありません。ムラサキは私にとっては幻の花になっています。しかし、高山に来ればミヤマムラサキに出会えますからもっとも身近なムラサキといえるのかもしれません。八方池を望む高台の岩場に点々と生育しています。