稜線の岩場にはオオコメツツジも見られました。日本海側の亜高山から高山帯の岩場に見られるとされる種です。実は新潟県内ではかなり広く分布していて山地帯の岩場でも見つかっています。そして、近縁のコメツツジは広く日本各地に見られますが新潟県内では限定的で群馬県境の高山帯を中心に自生してます。丁寧に観察していないので至仏山にコメツツジが自生するかどうか分かりません。しかし、新潟県境にコメツツジがあるとすればここにもみられても良いと思います。
オオバギボウシは不思議な植物です。里山の木陰にも普通に見られますが湿った崖などに群生を作ってみたりしているのですが、こんな高山帯のそれも蛇紋岩という特殊な岩石地帯にも自生しているのですから不思議な植物と思っても仕方がありません。適応力大きな種といってしまえばそれまでですが、とにかくすごい能力です。オオバギボウシにもいろいろな変種などがあるのでしょうが見た感じでは里山の個体と差異が感じられません。図鑑などでも変種の説明が記載されていません。
中部以北の高山帯で普通に見かけるヨツバシオガマです。至仏山ではタカネシオガマという岩場に見られる珍しいシオガマもありますが、このヨツバシオガマは湿った草地など湿地環境によく出てきます。ハマウツボ科に分類される半寄生植物とされます。自らも光合成をおこないかつほかの植物に寄生もしているという生態をしています。ハマウツボ科の種はこの特性がありますのでシオガマも同じ性質があるのでしょうがどの種に寄生しているのか分かりません。周囲にはイネ科植物が多くありますから、ナンバンギセルのようにイネ科に寄生しているのでしょうか。
先日、ホソバヒナウスユキソウを取り上げましたが、至仏山にはもう一種ウスユキソウ属が自生しています。ミネウスユキソウです。ホソバヒナウスユキソウは地域限定種なのですが、この種は中部高山帯には広く分布しています。高原などで見るウスユキソウの高山種とされていますが両種の区別は難しいもので、同じものだと考えている人もいるようです。全体に小型で毛が多めです。
セリ科の花は難しいと話される方が沢山おられます。確かに高山帯で見かけるセリ科の種類は沢山あって分かりにくい感じがします。しかし、セリ科ばかりでなく同じようなことは他の種にも言えてどれをとっても種を見極めるのは難しいものです。たくさん実物を観て慣れるより仕方がないのでしょうか。ハクサンボウフウは高山帯の草地や低木帯の縁に見られかなり普遍的に出現する種ですから馴染みのあるものです。生育してもあまり大きな個体にはなりません。登山道わきに大株がありました。