隣の森町にある曹洞宗「大洞院」のたたずまいがいい。 室町時代の1411年(応永8年)に開創された歴史ある寺だ。
禅宗らしくきれいに掃き清められた境内がある名刹は、末寺3400寺を率いるという。 「森の石松」の墓で有名だが、へんに観光化・世俗化されていないというところでは、小国神社より魅力的だ。
駐車場の隣には「侠客石松之墓」と「清水次郎長翁碑」が並ぶ。 歩いてすぐに到着できてしまうのは従来の寺社仏閣の経験値からは想定外だった。 さすが、庶民派石松ちゃん。
石松の墓は昭和10年に建立されたが、昭和30年前後から「商売繁盛」「勝負運強し」との風評から墓石が削られてしまい、変形し、現在のは3代目ということだ。
墓の隣はアーチ型の橋があり、それには江戸後期の「天明5年」(1785年)の銘の欄干があった。 橋そのものはコンクリートだったが、欄干がせめてもの歴史の証人になっている。 庶民の寄進でできたらしく、そこに寄付金額も彫られている。
目立たない石塔がいくつかあったが、「従是(コレヨリ)」、「光明」道4里、「秋葉」道6里の道標があった。 昔はここから春野まで徒歩で通った信仰の道でもあったんだ。
秋は紅葉が美しいという。 こんどはこじんまりした風情をもっとゆっくり楽しみたいものだ。