朝の寒さはストーブの前にしばし定着する。
テラちゃんの詩集をまた開く。
永眠が一昨年秋だったが、この詩は同年春だからすでに残されたいのちを覚悟している。
紐を解く
褪せた大学ノートの留め金の間から
錆びついた紙屑が落ちる
1969 No.3
崩れかけた心で母を想い
故郷への汽車の響きに涙した事
揺れる世事に身を置き
友との議論に酔い
なけなしの金で啜りあった珈琲
腹に沁みたラーメン
罫線に2行もあれば
2ページを埋め尽くしているのもある
赤裸々に勢いよく羅列した文字の端々に
あの頃の私が綴られている
数冊の年も
病を抱えただけの一冊もある
読み返すにも恥ずかしく
過ぎた自分を見つめることもできない
残りの歳月が数えられる今
走り書きは
ノートから手帳になり
紐の長さは
だんだん短くなっていく
残す私は何もないから
一つひとつ紐を解く
過去の私が
ビリビリと音となって消えていき
淋しい私と
ほっとしている私がいる
(2014年4月)
テラちゃんがわが畑に来たときぐいぐい畑に入っていき、若い周りを驚かせた。
いちばんの高齢者がいちばん子どもらしい感性を発揮していた。
さらには、そのためかヤマビルに手を噛まれてしまった。
ふつうならびっくりしてしまうがそんなことに動揺する人生ではない。
後日、「かまれた時の傷がまだあるよ」とケロッと言う。
テラちゃんの前で愚痴を言うと、ずばり本質的なことを瞬時に応える。
そうしたぶれない視点のルーツはこの詩集を読んでなんども納得することが少なくなかった。
テラちゃんの領域には到底達することはできないが、テラちゃんのこと忘れないよ。
テラちゃんの詩集をまた開く。
永眠が一昨年秋だったが、この詩は同年春だからすでに残されたいのちを覚悟している。
紐を解く
褪せた大学ノートの留め金の間から
錆びついた紙屑が落ちる
1969 No.3
崩れかけた心で母を想い
故郷への汽車の響きに涙した事
揺れる世事に身を置き
友との議論に酔い
なけなしの金で啜りあった珈琲
腹に沁みたラーメン
罫線に2行もあれば
2ページを埋め尽くしているのもある
赤裸々に勢いよく羅列した文字の端々に
あの頃の私が綴られている
数冊の年も
病を抱えただけの一冊もある
読み返すにも恥ずかしく
過ぎた自分を見つめることもできない
残りの歳月が数えられる今
走り書きは
ノートから手帳になり
紐の長さは
だんだん短くなっていく
残す私は何もないから
一つひとつ紐を解く
過去の私が
ビリビリと音となって消えていき
淋しい私と
ほっとしている私がいる
(2014年4月)
テラちゃんがわが畑に来たときぐいぐい畑に入っていき、若い周りを驚かせた。
いちばんの高齢者がいちばん子どもらしい感性を発揮していた。
さらには、そのためかヤマビルに手を噛まれてしまった。
ふつうならびっくりしてしまうがそんなことに動揺する人生ではない。
後日、「かまれた時の傷がまだあるよ」とケロッと言う。
テラちゃんの前で愚痴を言うと、ずばり本質的なことを瞬時に応える。
そうしたぶれない視点のルーツはこの詩集を読んでなんども納得することが少なくなかった。
テラちゃんの領域には到底達することはできないが、テラちゃんのこと忘れないよ。
今年もよろしくお願いします。
テラちゃんの詩なんと心がこもった、何度も読み返しました。
時には病に向かい合ったご様子心にしみました。
もちょっと紹介して欲しいぐらいです。
上京して夜間大学に行ったことを思い出しました。
メディアも暮らしも歌も文化もバーチャルに侵食され、テラちゃんのような暮らしのなかの琴線が見えにくい世の中になってしまいました。
テラちゃんが残したものをこれからこだわっていきたいと思っています。